目的:中小規模の自治体から構成される圏域のactive travelとsedentary travelに対する居住地域と年齢の関連性,およびそれらの交互作用について明らかにする。
方法:2015年12月と2016年2月に行われた第3回東駿河湾都市圏パーソントリップ調査の成人のデータを用いた。Active travel(徒歩と自転車による移動が30分/日以上かつ自動車による移動が0分/日)あるいはsedentary travel(自動車による移動が60分/日以上かつ徒歩と自転車による移動がともに0分/日)を従属変数,居住地域(地方拠点都市[基準]/近隣都市),年齢階級(若年層[基準]:20-44歳,中年層:45-64歳,前期高齢層:65-74歳,後期高齢層:75-84歳),あるいはそれらの交互作用項を独立変数としたロジスティック回帰分析を用いた。
結果:解析対象者25,930人のうち,active travelは11.2%,sedentary travelは27.0%であった。Active travelのオッズ比は,すべての同性・同年齢間の比較において,近隣都市で有意に低く,同居住地域内の比較では,男性では中年,前期および後期高齢層,女性では中年層で有意に低かった。Sedentary travelのオッズ比は,女性の前期高齢層を除き,居住地域間による有意な差は見られず,同居住地域内の比較では両居住地域ともに,男性では後期高齢層,女性では前期および後期高齢層で有意に低かった。いずれにおいても有意な交互作用は見られなかった。
結論:中小規模の自治体圏内において,居住地域に起因する移動場面での身体活動の差が確認され,この差は,一定の年齢層で拡大/縮小する傾向にないことが示唆された。
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