運動疫学研究
Online ISSN : 2434-2017
Print ISSN : 1347-5827

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青年期の剣道競技者における疼痛の有症状況に関する記述疫学的研究
廣野 準一 藁科 侑希西田 智津賀 裕喜小田 桂吾大垣 亮鍋山 隆弘向井 直樹
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論文ID: 1908

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抄録

目的:高校と大学の剣道競技者を対象に競技に関連する疼痛を調査し,年代ごとの有症状況や年代間の違いについて,性差をふまえて検討した。

方法:対象は,福岡県高等学校体育連盟剣道専門部に所属する高校9校327名,全国の学生剣道連盟に所属する大学10校431名の剣道部員とした。質問紙にて,疼痛経験の有無とその詳細,対象者の特徴や練習を調査した。疼痛の定義は,現在の所属に在籍してから記入時までの剣道部活動中に発症した痛みとした。

結果:有効回答数は高校143名,大学272名であり,有効回答率は54.7%であった。各年代の疼痛有症率は,高校生で60.8%,大学生で33.8%であった。有症率は,大学より高校で,高校年代で男性より女性で有意に高かった。練習時間と頻度は,大学より高校で,練習時間は高校年代で男性より女性で有意に多かった。パフォーマンスに支障のある疼痛は82.4%で,そのうちの受診率は44.1%であった。急性疼痛は慢性疼痛の1/3以下の有症件数であった。疼痛部位は,高校では足部/足趾,手関節,腰部/骨盤/仙骨,大学では下腿/アキレス腱,足部/足趾,腰部/骨盤/仙骨に多かった。

結論:疼痛有症状況は年代や性別で異なり,練習時間や頻度が影響する可能性が考えられた。また,パフォーマンスに影響するほどの疼痛を抱えながらも,医療機関を受診しない者が多いという現状が示された。

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