抄録
新型コロナウイルス感染症の蔓延に伴い,感染リスクを下げられるオンラインシステムやデジタル技術を活用した介入研究が世界的に注目されている。しかしながら,運動疫学領域での活用方法の実際に関する本邦の知見は乏しく,コンセンサスも得られていない。そこで本稿では,アプリやオンライン指導といった「手法」,子どもや高齢者といった「対象集団」に着目し,いくつかの事例を紹介しながら,身体活動に関するオンライン介入研究の実際と可能性について論じることを目的とした。なお,本稿の内容は,2022年9月20日に「日本運動疫学会第7回運動と健康:分野横断型勉強会」で発表・議論された内容を中心にまとめたものであり,主な内容は下記の通りである。1)オンライン介入研究の長所と短所,2)Webベースの身体活動評価システムやウェアラブルデバイスを用いた研究の概観,3)オンライントレーニングを活用した運動部活動や体育授業の事例,4)幼児を対象としたオンライン運動指導の事例,5)高齢者向けオンライン運動教室の事例。本稿を通じて,オンラインシステムを活用した運動疫学研究がさらに発展することを期待する。