運動疫学研究
Online ISSN : 2434-2017
Print ISSN : 1347-5827
COVID-19パンデミックと客観的に測定された座位行動および脂肪蓄積の変化の関連
―International Journal of Obesityに掲載された英語論文の日本語による二次出版
木下 佳大大里 直樹山口 亨武士田 寛人須藤 元喜山城 由華吏森 建太桂木 能久笹井 浩行村下 公一高橋 佳子井原 一成
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論文ID: 2409

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抄録
背景:新型コロナウイルス感染症(COVID-19)パンデミックが座位行動と肥満を増加させたことを報告した研究はいくつかあるが,自己申告によるデータが用いられており,COVID-19パンデミックにおける座位行動と内臓脂肪およびアディポサイトカインの客観的な関連は依然として不明である。本研究ではCOVID-19パンデミックと客観的に測定した座位行動および肥満関連因子の関連を検討することを目的とした。
方法:COVID-19パンデミック前(2018年)とパンデミック中(2020年)に健康診断を受けた日本人参加者257名について,縦断的解析を行った。座位行動は加速度計を用いて7日間以上測定した。内臓脂肪面積(VFA)は腹部生体インピーダンス法により測定した。血中アディポネクチンはラテックス凝集法により測定した。線形回帰分析により座位行動と肥満関連因子の関連を解析した。
結果:2018年と比較して,2020年では座位行動とVFAは有意に増加し(それぞれP < 0.001, P = 0.006),アディポネクチンは有意に減少した(P < 0.001)。座位行動の増加はVFAの増加(β = 3.85, 95%信頼区間 1.22, 6.49, P = 0.004)およびアディポネクチンの減少(β = -0.04, 95%信頼区間 -0.06,-0.01,P = 0.005)と有意に関連した。しかし,座位行動とアディポネクチンの関連はVFAの影響を考慮した後では有意ではなかった。
結論:日本人成人において,COVID-19パンデミックは客観的に測定された座位行動および肥満関連因子と関連した。さらに,座位行動の増加はVFAの増加と関連したが,座位行動とアディポネクチンの関連は部分的にVFAによって媒介された。COVID-19パンデミックのような行動制限下においては,座位行動の増加を避けることは内臓脂肪蓄積の予防および付随するアディポネクチンの改善に重要であることが示唆された。
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