2022 年 15 巻 2 号 p. 12-23
日本における環境NGOなどの市民団体による活動の形態は,環境問題の構造的変化に従って大きく変容している.本稿は,まず環境NGOの政策提言の活動における戦略的な動きに注目し,それを検証するために環境NGOが実施するアドボカシーを分析するための包括的な分析枠組みを提案した.それを用いて再生可能エネルギー発電の普及促進政策の法制化を目指す環境NGOの活動を,アドボカシーのデザイン及び実施プロセスの側面から系統的に分析した.その結果,「政策提言型戦略的アドボカシー」と呼びうる新しい活動形態の登場が明らかとなった.これらは今後の政策形成における環境NGOの参加拡大につなげるための知見を提供することになる.