2022 年 15 巻 2 号 p. 24-33
市場メカニズムは現代経済を支える重要な柱の1つである.しかし,決して万能ではなく,環境政策という名のもとに,外部性等の是正を目的として市場の外から介入が行われているのが実態である.現実の環境政策においては,さまざまな理由から必ずしも全ての汚染源に一律の課税・規制が課されていない.本稿では,はじめに環境規制にこうしたリーケージがある場合の問題について,代表的な理論研究をレビューする.また,そのアプリケーションとして,レジ袋規制にリーケージがある場合に,どのような隠された影響があったかを分析した一連の実証研究の結果についてもレビューを行う.最後に,2020年7月からレジ袋有料化を開始し,2022年4月にはプラスチック資源循環促進法という新たな法律が施行された我が国における,今後の研究展望について議論する.