2009 年 2 巻 1 号 p. 1-15
環境省の自主参加型国内排出量取引制度,経済産業省の中小企業と大企業とのクレジット取引制度,日本政府による京都メカニズム・クレジット取得制度,排出量取引の国内統合市場の試行的実施,オフセット・クレジット制度などのカーボン・クレジット活用策に関して,政策決定プロセス,割当方法,効果,費用効率性,京都目標達成との関係,などの点から比較評価およびその発展経路を分析した.その結果,1) 国内排出量取引制度のインフラは確実に構築されつつある,2) 国内排出量取引とクレジットの海外調達とでは,大きな費用効率性の差は存在しない可能性がある,3) 排出量取引制度の制度設計の内容が日本の目標達成に影響する,4) 副次的な効果なども考慮すれば排出量取引制度導入などによる国内排出削減支援は拡充すべきである,などが明らかになった.