2009 年 2 巻 2 号 p. 48-63
本研究の目的は,CVM(仮想評価法)を用いて死亡リスク削減の経済的価値を評価するとともに,死亡リスクが変化したときに評価額が変化するかを確認するスコープテストを実施し,死亡リスク評価の信頼性を検証することにある.理論分析では,リスク削減幅が大きいほど,支払意思額(WTP)は増大するのに対して,統計的生命の価値(VSL)は低下することが予想されることを示した.実証研究では,死亡リスク17%削減と50%削減の二種類のシナリオを設定することで,スコープテストを実施した.その結果,実証研究においても理論的に予測されたとおりの結果が得られた.