日本毒性学会学術年会
第50回日本毒性学会学術年会
セッションID: P1-046E
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優秀研究発表賞 応募演題 口演 2
抗がん剤による骨髄毒性の各種動物における詳細検討③:ラットにおける好中球キネティクス解析と種差検討
*西野 瑶子永山 裕子宮嶋 之子中谷 陽介若山 直美太田 恵津子朝倉 省二
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抄録

【背景・目的】CIN(Chemotherapy induced neutropenia)やFN(Febrile neutropenia)は抗がん剤治療において頻度が高い副作用として認められ,これらの副作用はRDI(Relative dose intensity)や治療効果の低下につながる。TK/TDシミュレーションを用いて,ヒトにおける抗がん剤による骨髄毒性の発現プロファイルを予測出来れば,投薬が続けられずに薬効がでないリスクを最小化し,患者様・被験者様に薬効用量が処方される機会が増えると考えられる。生体内の好中球の動態を反映したTK/TDモデルの作成に向けて,これまで報告のないラットにおけるMean transit time(MTT: 骨髄中の後骨髄球が成熟し,末梢血に移行するまでにかかる時間)を求める解析を実施し,以前の検討でみられた骨髄毒性感受性の種差の考察の一助とする。

【方法】ラットにBromodeoxyuridine(BrdU)を100 mg/kg単回腹腔内投与し,経時的に末梢血を採材した。各採血ポイントでのCD11b/c+RP-1+細胞(好中球)におけるBrdU細胞の割合をFACS Celestaにより測定し,MTTを算出した。

【結果】末梢血中のCD11b/c+RP-1+細胞におけるBrdU細胞の割合は投与72-96時間後に30-50%の最大値を示した。これらのデータから算出した結果,ラットのMTTは約64時間となった。今後は今回算出したMTTをTK/TDモデルに活用し,ヒトにおける骨髄毒性の予測精度を高めていく。本学会では,ラットのMTTを他の動物種と比較した結果も含め紹介する予定である。

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