環境経済・政策研究
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論説
資産除去債務会計が環境コストに及ぼす影響
野田 昭宏
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2011 年 4 巻 2 号 p. 1-11

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抄録

本論文は,2期間プリンシパル・エージェントモデルにもとづき,資産除去債務会計の導入が経営者業績評価にもたらす影響とその環境コストヘの効果を分析する.資産取得活動と当該資産を利用した生産・販売活動にたずさわる経営者と企業所有者の契約に焦点を当て,契約が報告利益に依存して設計される場合に,資産除去債務会計が利益測定プロセスの変更を通じて,経営者の資産取得活動とそれにともなう環境コストをどのように変化させるかを考察した.分析から,資産除去債務会計の導入が,経営者業績評価における資産取得活動のインセンティブを増大させ,資産除去時に環境修復を要する環境コストを増大させる可能性があるという結果を得た.

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© 2011 環境経済・政策学会
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