日本集中治療医学会雑誌
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症例報告
帝王切開術中巨大肺塞栓症により心停止し大量気道・腹腔内出血,へパリン起因性血小板減少症を合併したが後遺症なく社会復帰した1症例
下新原 直子小尾口 邦彦福井 道彦藤原 大輔加藤 之紀渡邊 宏樹浜崎 幹久木股 正樹
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2014 年 21 巻 6 号 p. 649-653

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抄録
妊娠中は生理的に深部静脈血栓を起こしやすい状況にある。本症例では緊急帝王切開術中に巨大肺塞栓症を発症し心停止をきたしたが,経皮的心肺補助(percutaneous cardiopulmonary support, PCPS)により蘇生し,PCPS下にカテーテル血栓破砕・吸引術を行った。PCPS稼働のためヘパリン持続投与を行っていたが,大量気道出血・腹腔内出血などを合併したため,活性化全血凝固時間(activating clotting time, ACT)を低めに管理することで出血をコントロールし,PCPSからの離脱に成功した。さらに,ヘパリン起因性血小板減少症を合併したが,早期にアルガトロバンに変更したことにより最終的には後遺症なく社会復帰することができた。
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© 2014 日本集中治療医学会
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