抄録
重度左片麻痺を呈した高齢患者(82歳)に対し,逆方向連鎖化の技法を用いた起き上がり訓練を実施し,その効果について検討した.介入は,安定した座位を獲得した第67病日から開始した.起き上がり動作を,0)端座位保持,1)on elbowから端座位,2)右肩下に枕を2つ敷いた状態から端座位,3)右肩下に枕を1つ敷いた状態から端座位,4)枕なしの状態から端座位の0~4段階の課題を設定し,1)から4)に向かって順に訓練を行った.介入中,運動麻痺,感覚障害,健側筋力に大きな変化は認められなかった.また,介入後においても座位バランスは不良で,麻痺側方向へ転倒の危険性があった.身体機能に著変がなったにもかかわらず起き上がり動作が可能となったことから,今回の逆方向連鎖化の技法を用いた起き上がり訓練は動作学習を促進する上で有効なものと考えられた.