抄録
故近藤万太郎博士はタバコ種子について, 1924年産の備中葉, 作州葉, 日野葉の三品種種子を岡山地方専売局より交付を受け, 1925年より後述の六貯蔵法で試験を開始し, 貯蔵7年間の発芽成績を日本農林種子学前編(1933)に発表されている。演者は1929年から各種農林種子について1947年(ムギと野菜種子は1952年)まで途中5カ年を除いて, この試験に従事し, 毎年経続し, 1年1回発芽試験を行って寿命をしらべた。その後は納屋や実験室の一隅におかれたままである。たまたまこの種子が1974年で実験開始後50年になるのを思い出し, この古種子の発芽率と生育を見るため新種子の交付と試験栽培を日本専売公社岡山地方局に申請, 許可されたので新旧種子について発芽, 生育の試験を行った結果について報告したい。