抄録
本研究の目的は,作成したプログラムへの相互コメント付け活動を導入したプログラミング演習において,活動や演習への参加意欲を維持するようなナッジ導入とその効果を測定することである.本研究では協同学習を,学生を小グループに分け,授業で作成したプログラムに対してオンライン上で互いのプログラムにコメントし合う活動として扱う.また参加意欲の定義を,グループメンバに対し,積極的に意見交換を行うこととする.この活動によって,自身のプログラミングスキル向上が期待される一方,毎週の活動が進むにつれて,学生の活動に対する参加意欲が低下し,コメントの量や質が低下することがわかっている.そこで,ナッジの導入が参加意欲低下を抑制することの検証と,異なるタイミングで提示されたナッジの効果比較を行う.実験は,1グループ5人(計2グループ)で,1週間に1回互いにコメント付けを行い,それを5週間繰り返す.実験の結果,適切なタイミングでナッジを表示することが,コメント数を維持し,十分な意見交換を行うために有効であることがわかった.