本研究では、日本語学習者によるイントネーション知覚とそのストラテジーを解明することを目的とし、イラン人日本語学習者を対象に、知覚実験とインタビューを行った。結果は次の2 点である。第一に、「X のY を」構文はイラン人にとって既知パターンであるため、「X でY を」構文より知覚されやすい。第二に、構文の種類を問わず、「有核語」と「無核語」の組み合わせからなるイントネーションパターンは知覚されにくい。インタビューの結果、成績上位群は、主に「高さ」及び「強さ」を手がかりにしてイントネーションを知覚する。それに対して成績下位群は、「リズム」及び「感覚」を基準にイントネーションを知覚していることが明らかになった。