2012 年 10 巻 4 号 p. 213-216
スラムの居住環境改善策として1970年代以降実施されてきたサイト・アンド・サービスは,上水,トイレ,排水,道路,教育施設などの基礎的生活基盤の提供,街区の整備,土地保有権にコア・ハウスが加えられた政策である.しかしながら、1980年代になるとサイト・アンド・サービスは,主にはコストの問題,移転先から都心(職場)までの距離,又貸しや転売の多発などが,その代表的な理由として挙げられてきた.いずれにしても,諸問題はコスト面から発生するものであるために避けられない課題ではあるが,本研究はこれに加えて居住環境の空間的な側面を重点的に扱うことで,サイト・アンド・サービスの再考を試みる.実態調査をタイの首都,バンコクに位置するクロン・トイの70ライ地区で実施した.