本研究では、豪州ビクトリア州及びメルボルン市における歴史的環境保全制度の枠組みについて、ヘリテージの種類、制度運用主体、ヘリテージの評価と指定・登録、ヘリテージに係る規制といった側面から明らかにすることを目的とし、以下の知見を得た。連邦、州、基礎自治体の各レベルのヘリテージは重複している。州レベルのヘリテージはヘリテージ・カウンシルが登録の可否を判断する登録制で、現状変更等の許可決定は州政府がおこなう。一方、基礎自治体レベルのヘリテージは指定制で、現状変更等の許可決定は基礎自治体がおこなう。基礎自治体が指定する保全地区内にある州レベルのヘリテージの現状変更等の許可申請については、建築物単体への影響は州が、周辺への影響は基礎自治体が、それぞれ検討する。
