2014 年 12 巻 4 号 p. 181-184
本研究は、重伝建地区に指定され町並み保存運動も盛んな福岡県吉井町において、現在の伝統的町並みの景観を把握し、町並み景観の連続性の確保を追求する際の課題を抽出することを目的として行った。2013年夏季に現地調査を実施し、その結果を元に対象範囲の通りごとの町並み景観の分析を行った。その結果、対象範囲の物件のうち地域全体では94件が伝統的物件、101件が非伝統的物件であることがわかった。町並み景観の連続性は対象範囲全体では53%という結果を得た。一部の通りでは両側の町並みの性格が異なるという箇所が見受けられた。これは通りに沿って歩く際に視界に伝統的/非伝統的な景観が混在してしまい、「町並みの連続性」に対する印象評価の側面では評価が下がる事が示唆された。