2014 年 13 巻 3 号 p. 104-107
昭和47(1972)年7月に発生した豪雨災害を契機に「防災のための集団移転促進事業に係る国の財政上の特別措置等に関する法律案」が可決成立し、原型復旧が原則だったわが国において、改良復旧の思想が導入されるという制度改革がおこなわれた。本報告では、この制度設立の契機にもなった昭和47年の天草水害を取り上げ、当時できたばかりの制度を利用し海面埋め立てによる集団移転先を確保した熊本県(旧)倉岳町の移転を事例に、当時の集団移転のプロセスを整理する。40年以上が経過した今日、集団移転を実施した移転者や行政官たちが当時をどのように振り返り、今後の集団移転をどのように実施すべきか考察した、聞き取り調査と文献調査の結果を報告する。