神戸用水は,伝統的な形態と構造を有する堰によって河水が導水される,農業用水路である。丘陵の麓を丁寧にたどる線形が地図で読み取れることから,地形に即した導水の有様が沿岸の景観に現れていると予想される。踏査および分析の結果,丘陵の麓をたどる水路と,より低所にある農地とが一望され,地形に即した導水の仕組みが,神戸用水に沿って歩く際のシークエンス景観として現れていることがわかった。ただし,シークエンス景観は均質ではなく,起点から順に,丘陵の麓に沿って川から水路へ導水される有様,丘陵の麓に沿って流れる水が農地へ送水される有様,両側の農地から水路へ排水される有様,と3段階に変化する。