都市計画報告集
Online ISSN : 2436-4460
都市が森に還る現れとしての蘚苔類の分布について
彦根市内の新旧2地区の街路を対象として
宮川 絵充村上 修一
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2016 年 15 巻 2 号 p. 66-69

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抄録

蘚苔類(コケ植物)は森の始まりと言われる。我々の足元からそれは起こっている。少なくとも滋賀県彦根市の駅前にある新旧2地区の路上で,そのことが確認された。旧地区の方が顕著であり,路上に占める蘚苔類の分布面積の割合は,新地区の6倍であった。ただし,近傍の林縁からの距離,塀などの垂直要素の有無や種別,隣接家屋の方位による分布状況の顕著な差は認められなかった。一方,人為的撹乱の影響が推察される不自然な形の定着範囲が認められた。都市生活者の日常的な行為に左右されながらも,様々な環境状況のもとで,数十年という長い時間をかけて着々と定着範囲を広げている蘚苔類の様子の一端が明らかとなった。

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