本論文は、御料地だった明石城址を兵庫県が宮内省から借用して公園にしたことを対象として、その評価と政策的位置づけを明らかにした。公園整備の予算案を審議した兵庫県会では公園の開設に対する反対意見があった。予算案は減額されたが可決された。御料地として閉ざされた空間だった明石城址が公園として開放されることを明石町民は歓迎した。地元新聞は当初、公園化の構想に賛意を示す一方、さらに詳細な検討を促した。しかし公園整備が進み開園式を間近にすると、他の歴史的庭園以上の公園になったと高く評価した。公園を設計した長岡安平は日本一の名園になったと自賛した。兵庫県に開園式後に公園整備を本格的に進めた。この公園整備は、清野長太郎知事が積極的に取り組んだ社会政策の一つに位置づけられる。