東京都心の駅前の密集市街地の中には、古くからの商店街や飲み屋街、横丁など「低層密集」であることがまちの個性として定着している場所がある。このような密集市街地は、建物の老朽化が進み、更新時期を迎えており、再開発に向けた動きが出てきている場所もあるが、まちの個性を活かす、つまり「低層密集」のまま再整備を行う方法として、近隣の再開発予定区域と連携して余剰容積を活用する手法が成立する可能性について、中野五丁目地区をケーススタディとして検証、考察を行った。
本研究では2003年以降に都市計画決定された市街地再開発事業が多く行われている千代田区、中央区、港区を対象に、容積率等の規制緩和による公共貢献として、①人口増加、②税収増と税負担、③都心居住の推進、④道路・広場等のオープンスペース等の創出を視点に評価し、公共貢献の実態と課題を検証した。その結果、都心3区の市街地再開発事業を伴う超高層マンション建設により、人口増加・税収増加効果があった。その一方、広場等のオープンスペース等の創出効果については、主要な用途がオフィス・商業施設の事業では、一般的な利用者に対して開放的な空間となっていたが、主要な用途がマンション開発では、広場とするには排他的・閉鎖的な空間になっており、用途によって公共貢献に差があるといった課題が明らかとなった。
アフリカは現在、最も急速に都市化が進行している地域であり、アフリカの都市人口の割合は2050年までに60%になると予想されている。このような急激な都市化の受け皿になっているのは、正規の土地所有権がないか、あるいは正規の開発許可手続きに則らずに開発されたインフォーマル市街地である。現在、アフリカ都市ではインフォーマル市街地に都市人口の30~70%が居住している。本研究は、急激な都市化が進行するケニアの首都ナイロビを対象に、市街化の受け皿となっているインフォーマル市街地に着目し、開発形態の特質を明らかにすることを目的とする。
空き家特措法が2014年に成立したが、空き家除却後の空き地の管理不全による住環境への影響への対策が検討課題として残されている。我が国では住環境の問題に当事者として関わる地域コミュニティの代表的な組織として自治会が活動してきた。本研究では横須賀市谷戸地域の自治会を対象にしたアンケートとヒアリングを行い、空き地対策による住環境マネジメントに関わる可能性のある自治会の存在を確認したが、自治会からは、住環境マネジメントには、空き地所有者の責務明確化と、空き地所有者との連絡・調整が課題となることが指摘された。
世界で最も急速に都市化が進行するアフリカでは、行政による都市計画は十分に機能していない。そのため、都市人口の大部分は都市計画の枠外で形成されたインフォーマル市街地で住まいを見つけざるを得ない。本研究は、ケニア国ナイロビを事例対象に、インフォーマル市街地における宅地形成と建設プロセスの実態を解明することを目的とする。とくに、インフォーマル市街地の居住環境あるいは空間的秩序を維持するために、どのような規範や権威が参照され、抱える課題に対してどのような仕組みあるいはルールを作り出しているのか、また、多様な主体間でどのような関係性を築いているのかに着目する。
本論文は、御料地だった明石城址を兵庫県が宮内省から借用して公園にしたことを対象として、その評価と政策的位置づけを明らかにした。公園整備の予算案を審議した兵庫県会では公園の開設に対する反対意見があった。予算案は減額されたが可決された。御料地として閉ざされた空間だった明石城址が公園として開放されることを明石町民は歓迎した。地元新聞は当初、公園化の構想に賛意を示す一方、さらに詳細な検討を促した。しかし公園整備が進み開園式を間近にすると、他の歴史的庭園以上の公園になったと高く評価した。公園を設計した長岡安平は日本一の名園になったと自賛した。兵庫県に開園式後に公園整備を本格的に進めた。この公園整備は、清野長太郎知事が積極的に取り組んだ社会政策の一つに位置づけられる。
本報では、福岡県大牟田市で出張商店街を行っている「よかもん商店街」の取り組みとその過程について報告することを目的としている。この研究の長期的な目的は、地方都市で取り組みがみられる「出張商店街」の有効性や課題を明らかにすることである。<br> 本報の結果、よかもん商店街が自助努力で事業や運営が徐々に発展してきたことがわかった。
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