本報告の目的は,歴史的用水に設定されたウォーキングコースを対象として,来訪者の景観体験を支える設えの現状と課題を把握することである。23例を対象に,コースへのアクセシビリティ,コース設定における水路の位置づけ,コース上の情報提供について現地調査を行った。結果として,事例間でアクセシビリティが異なること,水路や土地利用の全貌をコース上で観察するのは難しいこと,地形に即した土地利用の理解に役立つ情報のないことがわかった。水路の受益地全体を網羅するコース設定に見直すこと,および,景観に対する解説をコース上で提供することを整備課題として挙げた。