2017 年 15 巻 4 号 p. 313-316
本研究では、井泉を生活用水に活用していた時代の生活環境を、公平性という観点から評価することを目的に、ボロノイ図を活用した共同井泉の立地分析をおこなった。また、当時を知る方を対象にヒアリング調査も実施した。その結果、筆者らは「最寄りの井泉を利用する」という仮説のもと分析したが、井泉により用途が異なり、遠くの井泉へもよく行くという実態を知った。当初の見当とは違ったが、最寄りに限らない井泉の利用は、地区内のコミュニティ形成に貢献していたことが明らかとなった。また、井泉は、生活用水として使われなくなった現在でも、親水という形で地域コミュニティ醸成の役割を担っていることが確認された。