2017 年 15 巻 4 号 p. 351-358
本研究では、人々の枯山水庭園に対する印象の構造を明らかにするため、景観要素の特徴を把握するとともに、庭園の印象評価を行った。景観要素として、緑、白砂、石組に着目し占有面積を測定し、白砂の波紋を分類し、印象へのかかわりを検討した。分析の結果、景観要素の構成が明らかとなり、枯山水庭園の印象構造については、視覚的な形態、デザインや場の雰囲気に加え、鑑賞することで見立てられる仮想の環境が印象に関与していることが示唆された。庭園は限られた狭い空間であるにもかかわらず、広がりや大自然の厳しさが感じられ、水のない空間内に潤いを感じられるなどの想像がもたらされていると考えられ、自然性の評価に寄与していることが示された。