2017 年 16 巻 1 号 p. 1-8
本調査の目的は、容積移転の促進を目的としたTDRバンクの取引実績を検証することで、その有効性や課題を明らかにしたものである。本調査で対象としたTDRバンクでは、容積移転の取引の活性化に大きな影響を与えており、直接取引と同程度の容積移転に関与している。しかし、一部のTDRバンクでは、在庫リスクの顕在化によって累積損失が発生している。この問題を回避するためには、競合するゾーニングボーナスの排除が最も重要な条件となる。キング郡のTDRバンクは、郡内にある郊外の開発権を他のゾーニングボーナスを有する別の自治体の都心に移転することに多く使われているため、在庫リスクをコントロールすることが難しくなっている。