2024 年 38 巻 1 号 p. 48-58
目 的
本研究の目的は,助産所における妊婦の冷え症セルフケア継続に関する助産ケアの構成因子を明らかにすることである。
対象と方法
全国の分娩を取り扱う助産所に勤務する助産師129名を対象とし,無記名自記式質問紙調査を実施した。対象者の選択基準は,妊婦健康診査における冷え症のセルフケア支援を実施している,助産所での勤務年数が5年以上の助産師とした。主な分析方法は,妊婦の冷え症セルフケア継続に関する助産ケアについての探索的因子分析とした。本研究は,横浜市立大学の倫理審査委員会での承認を得て,倫理的配慮を十分に確保して実施した(承認番号:F221000004)。
結 果
質問紙調査の有効回答数は95名(有効回答率92.2%)であった。妊婦の冷え症セルフケア継続に関する助産ケアとして,「いつも実施している」と回答した割合が95%以上だった項目は,「妊婦が胎児の存在を意識できるように関わる」,「自分自身の力で産みたいという気持ちを妊婦が持てるように関わる」であった。妊婦の冷え症セルフケア継続に関する助産ケアの構成因子は,【冷え症のセルフケア継続に対する妊婦の思いを理解しながら気付きを促す】,【できそうな冷え症のセルフケアから始めようとする意欲を引き出す】,【妊婦自らが冷え症のセルフケアに関する情報に触れる機会をつくる】,【個別性を尊重した冷え症のセルフケア促進に繋がる助産師間での情報共有】の4つで構成された。
結 論
妊婦の冷え症セルフケア継続に関する助産ケアとしては,妊婦のセルフケアに対する内発的動機付けを高めるケアが重要視されており,高頻度で実施されていた。また,今回抽出された助産ケアの4因子は,妊婦が行動変容を起こすための意欲を引き出し,セルフケアに対する自己効力感を高め,積極的に冷え症のセルフケアに関する情報に触れる機会をつくり,個別性を尊重したケアを実施することで,冷え症のセルフケアを継続して実践することを促す因子であった。