2018 年 16 巻 4 号 p. 297-301
犯罪の被害リスクは,被害の数を,潜在的にその被害に遭う可能性の高いターゲット(人や物)の数で割ることによって求められる.しかし,対人犯罪のターゲットである人間は,時間の経過と共に空間を移動しており被害リスクの算出が難しい.本研究ではこうした課題を解決する試みとして,パーソントリップ調査より得られる情報を元にした被害リスクの算出を試みた.具体的には,東京都で認知された性犯罪を事例に,徒歩や自転車で移動する女性の数を潜在的ターゲットの数とみなした被害リスクの算出を行った.その結果,被害の数の多い時間帯より遅い時間帯や,被害の数の多い地域よりも郊外部での被害リスクが高いことが明らかとなった.