2018 年 17 巻 1 号 p. 22-25
熊野川沿いの集落には、水害時の浸水や避難生活を念頭に置いた「アガリヤ」という避難小屋が建てられていた.本研究では,伝統的な水防建築である「アガリヤ」の分布状況を把握することを目的とした.和歌山県田辺市本宮町三里,本宮,請川,川湯の4地区, 和歌山県新宮市新宮,日足,九重,四滝の4地区, 三重県紀宝町浅里においてその存在と現存を確認した.分類は,居住式,庫式,居住倉庫式,応急住宅・復興住宅転用,住宅転用,店舗転用に分類できる.2011年以降取り壊しが進み, 現在ではごく数軒が現存するのみとなっている.