都市計画報告集
Online ISSN : 2436-4460
17 巻, 1 号
都市計画報告集
選択された号の論文の18件中1~18を表示しています
  • 福島原発事故の発生に伴う福島県からの自主避難者を対象として
    矢吹 怜太, 川﨑 興太
    原稿種別: 研究論文
    2018 年17 巻1 号 p. 1-7
    発行日: 2018/06/08
    公開日: 2022/06/08
    研究報告書・技術報告書 フリー

    本研究では、仮設住宅の無償提供終了後における、自主避難者の生活実態と意向、支援策について論じている。本研究を通じて、①供与終了後、各都道府県では自主避難者に対する住宅支援が創設されたこと、②住宅支援の要件を満たすことが難しく、その実績が限られていること、③特に経済的な面で自主避難者の生活が苦しめられていること、④子どもの健康や将来、住みやすさ等を考え、今後定住を予定している者が多いことが明らかになった。以上より、国は自主避難者が安心して暮らせる制度の創設、ひとりひとりの生活実態を考慮した、柔軟な支援をすることが必要であると指摘している。

  • いわき市平地区を対象として
    齊藤 充弘
    原稿種別: 研究論文
    2018 年17 巻1 号 p. 8-13
    発行日: 2018/06/08
    公開日: 2022/06/08
    研究報告書・技術報告書 フリー

    本研究は,福島県いわき市平地区を対象として高校生の通学と日常生活における自転車利用の実態を明らかにすることを目的とするものである。いわき駅を最寄り駅とする6つの高校・高専を対象として実施したアンケート調査・分析により,通学時の交通手段の現状についてその選択理由とともに明らかにし,交通手段を選択する生徒・学生の特徴を明らかにすることができた。また,通学時の鉄道利用者の駅からの交通手段について,駅からの距離や性別,学校ごとにみる違いを明らかにすることができた。さらに,自転車の所有と通学時および日常生活における自転車利用の実態を明らかにすることができた。通学以外の目的や女性による自転車利用に課題があるなかで,利用頻度が高い利用者のための環境整備をしていく必要がある。

  • 大島 英幹
    原稿種別: 研究論文
    2018 年17 巻1 号 p. 14-17
    発行日: 2018/06/08
    公開日: 2022/06/08
    研究報告書・技術報告書 フリー

    本稿では、2022年度からの高等学校必修科目「地理総合」の中で行われる、生活圏の地理的な課題解決の学習について、学習指導要領などにより現時点で明らかになっている情報を整理した。さらに、このような学習が、まちづくりに参加する大学生の技能向上やまちづくり市民活動の活性化、まちづくり合意形成の促進などをもたらす可能性を展望した。また、指導する高等学校教員自身に生活圏の地理的な課題解決の経験が少ないため、まちづくりや都市計画の専門家がこのような学習に対して支援する必要があり、学会や関係官庁が専門家の協力を得て支援を行うことが考えられることを示した。

  • アチェ、ジョクジャカルタ、パダンの事例から
    山本 聖章, 岡﨑 健二, 落合 知帆
    原稿種別: 研究論文
    2018 年17 巻1 号 p. 18-21
    発行日: 2018/06/08
    公開日: 2022/06/08
    研究報告書・技術報告書 フリー

    インドネシアは発展途上国の中でも、地震や津波、火山噴火、洪水など様々な自然災害が多発することで知られる。本研究は、多数の住宅再建が行われたバンダアチェ、ジョグジャカルタ、パダンの3都市を対象に、災害後に再建された住宅および所有・居住する人々が長期的にどのように変化とその関係について調査することを目的とした。調査の結果より、現行の住宅再建政策においては、アチェでは世帯毎に、ジョグジャカルタとパダンでは被害レベルをもとに判断した支援金を住宅毎に、という基準であったが、震災後に生き残った世帯と人数、収入や住宅規模等を配慮する必要性があることを明らかにした。

  • 落合 知帆
    原稿種別: 研究論文
    2018 年17 巻1 号 p. 22-25
    発行日: 2018/06/08
    公開日: 2022/06/08
    研究報告書・技術報告書 フリー

    熊野川沿いの集落には、水害時の浸水や避難生活を念頭に置いた「アガリヤ」という避難小屋が建てられていた.本研究では,伝統的な水防建築である「アガリヤ」の分布状況を把握することを目的とした.和歌山県田辺市本宮町三里,本宮,請川,川湯の4地区, 和歌山県新宮市新宮,日足,九重,四滝の4地区, 三重県紀宝町浅里においてその存在と現存を確認した.分類は,居住式,庫式,居住倉庫式,応急住宅・復興住宅転用,住宅転用,店舗転用に分類できる.2011年以降取り壊しが進み, 現在ではごく数軒が現存するのみとなっている.

  • 四日市コンビナートと庭造図絵秘伝の比較
    西川 夏生, 村上 修一
    原稿種別: 研究論文
    2018 年17 巻1 号 p. 26-29
    発行日: 2018/06/08
    公開日: 2022/06/08
    研究報告書・技術報告書 フリー

    横長の要素と縦長の要素が混ざり合う工場景観には,日本庭園の石組意匠に通じる審美性があるのではないか。四日市コンビナート工場景観と,庭造図絵秘伝に描かれた石組の絵図の比較を通して,この仮説を実証することが,本研究の目的である。構成要素の縦横の寸法の割合を見ると,横長や縦長の形態的特徴を有する要素が,双方で優勢であることから,庭造図絵秘伝の石組に通じる,水平性と垂直性の対比という構図が,四日市コンビナートの工場景観にも認められる。さらに,縦長の要素の足元に横長の要素がある,という構図も共通している。

  • 新潟市下町地区・旧小澤家住宅周辺及び下本町商店街を対象として
    萩野 凜太郎, 岡崎 篤行
    原稿種別: 研究論文
    2018 年17 巻1 号 p. 30-33
    発行日: 2018/06/08
    公開日: 2022/06/08
    研究報告書・技術報告書 フリー

    大学が地域と連携してまちづくり支援に取り組む事例が増えている。また、歴史的町並みが残る地域では、一般公開されている文化財建造物の地域拠点としての役割が特に期待される。<br>新潟大学工学部建設学科では、都市計画学の演習の一環として平成18年度より当該地区を対象に地域の再生計画を提案してきた。平成23年度には地域住民を交え情報提供の場を設け、参加者から次段階へと進展させたいと要望が挙がったことから、平成24年度から新潟市指定有形文化財の旧小澤家住宅と連携し、過去の提案の具体化及び実現化について演習を通して取り組んでいる。本研究では平成24年度から平成28年度までの5年間の取り組みからまちづくり支援の進展を明らかにする。

  • 布施 大悟, 大西 暁生
    原稿種別: 研究論文
    2018 年17 巻1 号 p. 34-40
    発行日: 2018/06/08
    公開日: 2022/06/08
    研究報告書・技術報告書 フリー

    近年,南海トラフ巨大地震とそれに伴う巨大な津波の発生が懸念されており,関東から九州にかけた広範囲の地域で甚大な被害が及ぶことが想定されている.過去に発生した東日本大震災や熊本地震では,原子力発電所や公共施設等の社会基盤施設が甚大な被害を受け,機能不全に陥ったことで様々な問題が発生した.本研究では,今後の施設立地や防災対策の一考察とすることを目的とし,南海トラフ巨大地震を中心とした津波浸水想定から社会基盤施設の浸水数・浸水深の把握と浸水想定区域の標高・海岸線からの距離等の地理的特徴の分析を行った.

  • 釜石市の自治会設立支援のしくみ
    平 修久
    原稿種別: 研究論文
    2018 年17 巻1 号 p. 41-48
    発行日: 2018/06/08
    公開日: 2022/06/08
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    東日本大震災により、多くの人命とともに多数の家屋が奪われた。住まいの再建は、東日本大震災からの復興の重要な課題である。被災地の県や市町村が被災者用に建設した公営住宅には震災前の居住地や仮設住宅団地が異なる人々が入居したとともに、高齢者や低所得者の割合が高く支援を必要とする入居者が多いこともあり、地域コミュニティの形成が被災地の新たな課題となった。釜石市では、1) 関連組織による協働、2) 協働を可能にした釜援隊隊員の存在、3) 自治会形成の定型化などにより、入居者の自治会づくりが比較的順調に進んでいる。

  • 東海林 拓実, 大西 暁生
    原稿種別: 研究論文
    2018 年17 巻1 号 p. 49-57
    発行日: 2018/06/08
    公開日: 2022/06/08
    研究報告書・技術報告書 フリー

    近年,集中豪雨による水害が頻発しており甚大な被害となっている.被害を軽減させる対策を講じるには,まず被害の状況を把握する必要がある.特に,水害が起きた時には被害による損失額と共に,発生する廃棄物をいかに少なくするかによって迅速な復旧・復興が見込める.本研究では,富士川流域を対象として,3次メッシュごとに2010年から2050年までの人口,世帯数,及び住宅のライフサイクルを推計し,洪水氾濫が起きた際の浸想定区域内に存在する住宅の被害額及び水害廃棄物量を示す.この結果,2050年に浸水が発生した場合の被害額は浸水域内一人あたり約407万円であり2010年の377万円から約8.0%の増加,同様に2050年の浸水域内一人あたり水害廃棄物量は約36トンであり2010年の約33トンから9.0%の増加となった.

  • 都市機能の連携・分担に着目して
    片山 健介
    原稿種別: 研究論文
    2018 年17 巻1 号 p. 58-63
    発行日: 2018/06/08
    公開日: 2022/06/08
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    全国の市町村で立地適正化計画の策定が進んでいるが、国の方針では都市圏における広域連携も期待されている。本稿では基礎的な分析として、計画文書から都市機能に関わる連携・分担の状況と、広域連携施策との関係について全体的な動向を把握した。分析対象とした160市町の立地適正化計画においては、50市町で連携の意思が示されているが、具体的な圏域において具体的な機能分担を記述している市町は16市町であった。連携中枢都市圏・定住自立圏においては土地利用分野での取り組みは少ないが、広域連携の経験に基づく機能分担に取り組む自治体もみられた。また、広域調整における都道府県および都市計画区域マスタープランの重要性も示唆された。

  • 2012年と2017年に実施した質問紙調査の比較
    石川 美澄
    原稿種別: 研究論文
    2018 年17 巻1 号 p. 64-70
    発行日: 2018/06/08
    公開日: 2022/06/08
    研究報告書・技術報告書 フリー

    本稿の目的は、2012年と2017年に実施した「国内におけるゲストハウスの実態に関する調査」の結果を比較し、ゲストハウスの特徴の変化について考察することである。具体的には、両調査の結果を比較し、比較的大きな変化が確認された調査項目のみを取り上げ、その背景や要因について考察した。その結果、2015年以降は「ゲストハウスブーム」ともいえる現状にある点、これまで個人事業主による経営が主流であったゲストハウス事業に企業等も参入し、より経営主体が多様になった点、インターネットが予約ツールとして主流である点などが明らかになった。なお、相部屋にカプセル型ベッドを設置するゲストハウスも一部確認できた(2017年調査による)。

  • 坂本 哲史, 吉川 徹, 三宅 貴之
    原稿種別: 研究論文
    2018 年17 巻1 号 p. 71-76
    発行日: 2018/06/08
    公開日: 2022/06/08
    研究報告書・技術報告書 フリー

    現在の都市空間においては、時代の変化によって新しい都市がつくられていく一方、その土地本来が持つ個性が薄れている。しかし空間の基礎として存在している地形は、その場所の固有の性格である。 したがって、特に谷のような入り組んだ地形は、人間の都市活動に平坦な地形にはない特有の影響を及ぼす可能性がある。そこで本研究は、東京23区において谷地形の影響を明らかにするために、谷地形と商店が凝集する箇所との対比から最近の商店の谷における分布を分析した。 その結果、谷地形周辺の狭い地域では、商業区域が谷圏域に集まることが示された。 また、谷が狭まる場所と谷が出会う場所には、店舗の凝集をもたらす絞りの作用があるすることが示唆された。

  • 都市特性を考慮した事例分析から
    杉野 早紀, 吉川 徹, 讃岐 亮
    原稿種別: 研究論文
    2018 年17 巻1 号 p. 77-82
    発行日: 2018/06/08
    公開日: 2022/06/08
    研究報告書・技術報告書 フリー

    百貨店は全国で撤退が相次いでいる。撤退によって街は求心力を失い、公共交通機関で買物を行う消費者の利便性が損なわれている。そこで本論文では、撤退後の建物・跡地の活用についての分析を行う。まず、近年の百貨店撤退後の状況を全国的に調査した結果として、活用状況は都市規模と床面積によって異なることを見いだした。続いて、床面積が10,001から20,000平方メートルのケースを分析した結果として、活用状況は地価と関連していることを示した。

  • 福岡県におけるまちづくり連絡協議会の取り組み事例の報告
    赤星 健太郎, 宮崎 功一朗, 田川 英一郎, 福島 健志, 石井 儀光
    原稿種別: 研究論文
    2018 年17 巻1 号 p. 83-90
    発行日: 2018/06/08
    公開日: 2022/06/08
    研究報告書・技術報告書 フリー

    これからの人口減少期における国の政策としては集約型都市構造への転換を進める方針が示されているが、個別都市における具体の検討についてはその手法も含めて個々の都市に任されており、自治体における都市構造の検討はなかなか進展していない状況にある。そのような状況下において、福岡県では多くの市町村により都市圏が構成されている状況にあることから、福岡県都市計画基本方針において、圏域での都市計画の重要性を打ち出した。この中で、都市圏における都市政策の立案を県と市町村等が連携しながら主体的に行うことの重要性が指摘されているところである。本研究は、このような背景を踏まえ、福岡県における都市構造可視化を活用した市町村担当者らによるワークショップの取り組みと、その有用性を報告するものである。

  • 「旧八女郡役所」開設までの動きに注目して
    内野 絢香, 加藤 浩司
    原稿種別: 研究論文
    2018 年17 巻1 号 p. 91-94
    発行日: 2018/06/08
    公開日: 2022/06/08
    研究報告書・技術報告書 フリー

    本稿では,大規模な木造建物の再生事例として,NPO法人八女空き家再生スイッチにより様々な取り組みが進められ,現在では「まちの公園のような場所へ」というコンセプトのもとで運営が行われるようになった旧八女郡役所について,改修工事の過程を中心に開設までの取り組みを報告した。なお,ここでの改修工事は,伝建事業による支援を受けず進められた。そして,八女福島地区で希少な大規模な木造建物を残すことができたことは,特に,市民の動きを行政が支援する形で残すことができたことは,地域にとって意義のあることであると考えた。

  • 台湾南部・好茶(ハオチャ)村の事例研究
    蔡 松倫, 小林 広英, 落合 知帆
    原稿種別: 研究論文
    2018 年17 巻1 号 p. 95-98
    発行日: 2018/06/08
    公開日: 2022/06/08
    研究報告書・技術報告書 フリー

    2009年のモーラコット台風により、台湾の多くの少数民族が深刻な被害を受けた。その後台湾政府は、被災地域を含めた、災害リスクの高い山間部区域での居住を制限し、住民たちを別の集落へ移住させた。本研究ではRinari集落へ移住した好茶(ハオチャ)部族について、移住後の居住環境の変容を明らかにした。さらに、近隣住民の血縁関係と居住地の関係を分析した。住宅の増改築とあわせて、世帯構成を分析したところ、住宅の増改築と世帯構成との間に相関が見られた。また、移住先での土地・住宅の割り当ては抽選によるものであったが、実際は好茶部族内の元々の地縁・血縁関係による集住がここでも継承されていることが確認された。

  • 英国グレーター・ロンドンのAreas of special local characterを事例として
    押野 友紀, 岡崎 篤行
    原稿種別: 研究論文
    2018 年17 巻1 号 p. 99-102
    発行日: 2018/06/08
    公開日: 2022/06/08
    研究報告書・技術報告書 フリー

    英国では、国のConservation Areas(以下、CA)に加え、複数の自治体がAreas of special local characte(以下、ASLC)を策定している。本研究は、メール調査、面会及びメールによるヒアリングより、ASLCの策定状況及び運用実態を明らかにしている。GL内の33自治体の内14自治体が、ASLCを策定している。主な指定対象地区は住宅地で、最大地区指定数は39地区、最小地区指定数は1地区である。指定までは、地区の調査、協議、住民への意見聴取等に約3~6ヶ月を要する。地区指定決定後も定期的に再評価を行い、CAへの格上げ指定や、ASLC指定の解除を行っている自治体もみられた。

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