2018 年 17 巻 3 号 p. 293-298
近年、公共施設の老朽化が深刻な問題となっている。本報告は、首都圏の先進自治体が策定した公共施設再編計画の実施段階の取組とその課題や今後の展望を概観することを目的とする。結論は以下のとおりである。(1) 公共施設マネジメントの実施は公共施設マネジメント専管部署や政策部門等が主導し、実際の事業実施や住民説明会等は各施設を管理する所管によって行われる形が多い。 (2) 実現段階においては、事業の「入口」と「出口」で個別事業の管理・推進を行う一方で、様々な課題が発生し計画通りには実行することが困難であることが多い。 (3) 再編計画は地区スケールの計画との親和性が高いが、都市スケールの立地適正化計画などとの親和性は必ずしも高くない。 (4) 住民生活への影響の大きい事業実施に際しては少なくとも市民説明会を行っている。