2019 年 18 巻 2 号 p. 112-116
本論文は、米国ミシガン州デトロイト市を事例にグリーンインフラに関して敷地スケールの取り組みと都市(広域)スケールの計画を連動させるあり方について論じた。敷地スケールの取り組みでは、市北西部のUpper Rouge Tunnel地域に建設された「New GI」と呼ばれる4つのbioretention gardenに焦点を当てた。関係者へのインタビューや文献調査の結果、グリーンインフラが提供する雨水管理を核とした多様な便益を、デトロイト市固有の荒廃した空き家・空き地問題の解決に活用することにより、2つのスケールを連動させていることが分かった。そのための方策として、都市スケールの計画(戦略)に基づく敷地での実装を助けるツールキット、実装への助成金、住民参加キャンペーンを行っている。また、利害関係者との多くのネットワーキングと協働の仕組みの中心的役割を、大学の研究者が担えることも示した。