都市計画報告集
Online ISSN : 2436-4460
18 巻, 2 号
都市計画報告集
選択された号の論文の22件中1~22を表示しています
  • 国内外都市の車両走行距離の変化に着目して
    東 達志, 清水 宏樹, 高原 勇, 谷口 守
    原稿種別: 研究論文
    2019 年 18 巻 2 号 p. 106-111
    発行日: 2019/09/09
    公開日: 2022/06/08
    研究報告書・技術報告書 フリー

    近年,⾃動運転⾞によるライドシェア・カーシェア交通サービス(以下,SAV)の実現が⽬指されており,混雑緩和や環境負荷等の効果が期待されている.しかし,SAVは導⼊都市によって公共交通等から多くの誘発交通を⽣み,混雑や環境負荷がむしろ悪化する可能性がある.そこで本研究は, SAVを導⼊する際の交通計画及び都市計画の⼀助とすることを⽬的とし,SAV導⼊による⾞両⾛⾏距離増減率を⼈⼝密度と⾃動⾞分担率をもとに算出するモデルを提案した.本モデルを国内及び世界の主要都市に適⽤した結果,1)⾃動⾞分担率が低い東京等では,多くの誘発交通を⽣むことで⾞両⾛⾏距離が増大し, 2)シカゴ等の⾃動⾞分担率が⾼い都市や,台北等の⼈⼝密度の⾼い⼀部の都市では,⾞両⾛⾏距離の増⼤を⽐較的抑制,または削減できる傾向があることが⽰された.

  • アメリカ・デトロイト市の事例から
    加藤 禎久, 福岡 孝則, 片桐 由希子
    原稿種別: 研究論文
    2019 年 18 巻 2 号 p. 112-116
    発行日: 2019/09/09
    公開日: 2022/06/08
    研究報告書・技術報告書 フリー

    本論文は、米国ミシガン州デトロイト市を事例にグリーンインフラに関して敷地スケールの取り組みと都市(広域)スケールの計画を連動させるあり方について論じた。敷地スケールの取り組みでは、市北西部のUpper Rouge Tunnel地域に建設された「New GI」と呼ばれる4つのbioretention gardenに焦点を当てた。関係者へのインタビューや文献調査の結果、グリーンインフラが提供する雨水管理を核とした多様な便益を、デトロイト市固有の荒廃した空き家・空き地問題の解決に活用することにより、2つのスケールを連動させていることが分かった。そのための方策として、都市スケールの計画(戦略)に基づく敷地での実装を助けるツールキット、実装への助成金、住民参加キャンペーンを行っている。また、利害関係者との多くのネットワーキングと協働の仕組みの中心的役割を、大学の研究者が担えることも示した。

  • 西野 一希, 土屋 一彬, 大黒 俊哉
    原稿種別: 研究論文
    2019 年 18 巻 2 号 p. 117-120
    発行日: 2019/09/09
    公開日: 2022/06/08
    研究報告書・技術報告書 フリー

    密集市街地では、都市公園などの面的な緑地空間が少ないことが多いものの、鉢植えをはじめとする道路沿いの植栽が良好な景観の形成に貢献してきた。そこで、防災・減災を主目的とした整備事業においては、こうした景観を継承していくための、緑視率等の都市計画手法の開発が重要になる。しかし、人が感じる緑量感を緑視率がどの程度再現出来るのかについては、全方位カメラを用いた計測においては十分検討されていない。本研究は、東京都文京区根津二丁目の路地における印象評価結果と全方位および単方位カメラの緑視率を比較することで、全方位カメラによって計測された緑視率が、区間単位の緑量感をよく表現できる可能性を示した。

  • 藤江 教貴, 真鍋 陸太郎, 村山 顕人
    原稿種別: 研究論文
    2019 年 18 巻 2 号 p. 121-128
    発行日: 2019/09/09
    公開日: 2022/06/08
    研究報告書・技術報告書 フリー

    この研究は、鎌倉谷戸住宅地における近年の宅地開発の実態と、それに伴う空間構成の変容について明らかにしたものである。谷戸住宅地は、周囲を丘陵に囲まれ、緑豊かで良好な住環境を提供しており、その空間構成は、家屋を取り囲む樹木の緑や、板塀や石積み等の自然素材の利用によって特徴付けられる。しかし、近年、宅地分割等開発行為の増加により、谷戸住宅地の空間構成にも変化が生じている。開発が進行した地区と進行していない地区を比較すると、緑被の割合や自然素材の利用には大きな差異が見られた。また、開発が進行した地区においては、個々の住宅間にもこれらの割合に大きな差異が見られ、様々な外構形態の住宅が混在していることが判明した。

  • 1990年代からの三つの好事例における利用者の利便性の満足度調査を通して
    土橋 喜人, 大森 宣暁
    原稿種別: 研究論文
    2019 年 18 巻 2 号 p. 129-136
    発行日: 2019/09/09
    公開日: 2022/06/08
    研究報告書・技術報告書 フリー

    本研究では、鉄道事業プロジェクトにおける計画段階からの市民参加によるバリアフリーの改善効果を主観的評価によって確認・検証した。研究対象は、阪急伊丹駅復興事業、福岡市地下鉄七隈線事業、仙台市地下鉄東西線事業である。初めに、文献調査と現地調査、鉄道事業者、行政機関、障害者団体等の関係者へのインタビュー調査を行った。そして、アンケート調査を、各地の障害者団体経由で移動制約者からの回答を収集し、アンケート会社を経由して健常者の回答を収集した。その結果、参加型で計画された鉄道駅・路線の方が通常の駅・路線よりも利便性の満足度が高いことが分かった。最も古い阪急伊丹駅の利便性の満足度が高いことから、しっかりと市民参加で計画された旅客施設の利便性は時代を経ても変わらないことを確認した。以上より、市民参加の効果が確認できた。

  • コミュニティデザインの多地域展開を目指して
    白鳥 奈緒美, 後藤 智香子, 小泉 秀樹
    原稿種別: 研究論文
    2019 年 18 巻 2 号 p. 137-143
    発行日: 2019/09/09
    公開日: 2022/06/08
    研究報告書・技術報告書 フリー

    人口減少社会において、そのコミュニティ維持のため、コミュニティ・デザインを複数の地域において展開する必要がある。それらを円滑に進めるため、コミュニティを支える地域住民が、どのように地域社会への活動に参加しているなど、地域特性をあらかじめ把握しておく必要があると考える。本調査の目的は、住民を地域参加状況ごとに分類し、その構成により地域特性を把握する方法を考案し、この方法で把握した結果と、実際の地域の状況を比較することにより有効性を議論するものである。調査の結果、本方法は町内会や自治会の活動の観点から有効であることがうかがえたものの、NPO法人や市民活動グループの活動の観点においては有効性を明確にすることはできなかった。

  • 坂井 航佑, 真鍋 陸太郎, 村山 顕人
    原稿種別: 研究論文
    2019 年 18 巻 2 号 p. 144-147
    発行日: 2019/09/09
    公開日: 2022/06/08
    研究報告書・技術報告書 フリー

    かつては人の往来でにぎわっていた旧街道は、道幅は狭いが今でも重要な場所を結ぶ一番の短絡路であることが多いために幹線となる道路が通される傾向があり、旧街道上にあった遺産は道路の拡幅により消されてしまうことが多い。本調査は旧街道の一つであり今でも日本の大動脈である東海道上にあった旧東海道を取り上げ、その旧街道上、特に宿場町と宿場町の間の区間における歴史的な街道景観の保全がどの程度おこなわれているかを明らかにし、保全条件についての分析および考察をおこなうことを目的とする。旧東海道の江戸日本橋から京三条大橋間の海上を除く旧東海道全域で、宿場町ではない宿場町間の全道中を対象として実地徒歩調査をおこなった。

  • 鈴木 雅智
    原稿種別: 研究論文
    2019 年 18 巻 2 号 p. 148-153
    発行日: 2019/09/09
    公開日: 2022/06/08
    研究報告書・技術報告書 フリー

    大都市圏郊外で新規の住宅需要が限定的になっていく中で、居住地選択における住環境選好構造の変化への対応が求められる。本稿では、20年近くにわたる首都圏新築マンション購入者へのアンケート調査データより、将来の地域像の予測に資する次の傾向を明らかにした。①近年首都圏全体で、生活環境・教育環境・周辺環境・駅徒歩が重視されるようになってきている。②とりわけ、商業・公共・医療施設等の生活環境は、郊外部(都心から20km圏外)への広域転入者が重視する傾向、重視項目から決め手に至る傾向が強まっており、一貫して妥協されにくい構造を有する。また、価格・広さを妥協してまで、生活環境等を優先するトレードオフが存在する。③各距離帯の中でも駅毎に比較優位を持つ住環境項目は異なり、その相対的なランクは経年的に変化しにくい。教育環境・周辺環境は一度ブランドを確立したら長く持続するが、相対的に、生活環境や駅徒歩は次第に評価が低減しうる。

  • 木下 晴敦, 小地沢 将之
    原稿種別: 研究論文
    2019 年 18 巻 2 号 p. 154-157
    発行日: 2019/09/09
    公開日: 2022/06/08
    研究報告書・技術報告書 フリー

    本研究は、仙台市の社会教育施設を対象に、建物の更時手法について調査することを通じて、その手法の選択の要因と課題を明らかにすることを目的とする。ヒアリング調査と文献調査を行った結果、以下のことが明らかになった。大規模修繕は多く行われ、工事中には近隣の公共施設を借りるケースが多かった。また現地建て替えが少なかった理由としては、更新前の立地と比較してより小学校や駅に近い立地が確保できたことが要因であると考えられる。そのことから、各種の方針には明文化されていないものの、地区の拠点施設としての社会教育施設がイメージされているといえる。

  • 芦澤 咲, 松行 美帆子, 船戸 義和
    原稿種別: 研究論文
    2019 年 18 巻 2 号 p. 158-163
    発行日: 2019/09/09
    公開日: 2022/06/08
    研究報告書・技術報告書 フリー

    東日本大震災の被災地のうち、岩手県と福島県においては、県と市町村が役割分担をして、災害公営住宅の整備・管理を行っている。したがって整備管理主体の違いにおいて、災害公営住宅の入居開始時における課題、配慮事項・支援のあり方が異なることが考えられる。コミュニティや自治会形成に関しても、その課題や手法、コミュニティの強さにも違いが見られると考えられる。本研究では、岩手県大槌町、釜石市、陸前高田市での調査の結果、コミュニティ形成、自治会の形成といった、災害公営住宅入居時の課題において、県整備、管理の住宅の方がより困難になる傾向にあり、その背景の一つに県整備、管理の住宅の場合、一般的な県営住宅と同様の基準で整備、管理をしていることがあることを指摘した。

  • 佐藤 真吾, 村尾 修
    原稿種別: 研究論文
    2019 年 18 巻 2 号 p. 164-171
    発行日: 2019/09/09
    公開日: 2022/06/08
    研究報告書・技術報告書 フリー

    本研究では,包括的な視点から,濃尾地震から東日本大震災までの日本における災害・被爆遺構について体系的に整理し,保存状態や維持管理状況などの分析を行った.その結果,218件の遺構が収集され,被爆遺構が約57%,地震による遺構が35%,噴火による遺構が7%,風水害による遺構が1%であった.それらを類型化し,5つに区分した時代による傾向を調べたところ,古くから残る遺構は,存置型で保存された地形の遺構が多く,近年は遺構のタイプと保存状態に様々なパターンが見られるようになっていた.東日本大震災では民間企業による新たな活用の仕方も見られた.維持管理状況については,施設型や修復利用型の遺構の事業費が高く,とくに施設型で地形を保存している事例は事業費,維持管理費ともに最も高かった.存置型の遺構や,メモリアルパークで土木構造物を保存している事例は事業費,年間維持管理費があまりかかっていなかったが,これらは経年劣化による補修が今後必要になることも考えられる.

  • 奥貫 圭一, 服田 帆乃香
    原稿種別: 研究論文
    2019 年 18 巻 2 号 p. 172-177
    発行日: 2019/09/09
    公開日: 2022/06/08
    研究報告書・技術報告書 フリー

    本論文では,GISデータの集計空間単位として沿道領域に着目し,既存のフリーGISデータを活用して,沿道領域の世帯数を推定する方法を提案する。沿道領域は道路中心線を生成元とするボロノイ領域で定める。推定にあたっては,面積按分のいくつかの方法を比較検討する。事例として,岡崎市の2つの住宅地をとりあげ,推定された結果が実際とどれほど合致するのかが検討される。その結果,とくに竜美東2丁目では,よく推定できていることが示された。さらに,建物延床面積按分による推定方法についても検討され,通常の面積按分による推定よりも有用であることがわかった。

  • 佐藤 真綺, 吉川 徹, 讃岐 亮
    原稿種別: 研究論文
    2019 年 18 巻 2 号 p. 178-181
    発行日: 2019/09/09
    公開日: 2022/06/08
    研究報告書・技術報告書 フリー

    近年、従来の「静かな空間で読書をする」という概念を破る空間を提供する図書館が増えている。そこで本研究では、利用者が「心豊かに寛ぎ多様な活動を自主的、積極的に行える空間」 (以下、フリースペースと呼び、FSと略す)を備えた図書館に注目し、立地等の施設特性と館内のFSの有無や内容の関連性を明らかにすることを目的とする。各図書館の施設特性において適合度検定を行うと、図書館の立地と館内のFSの有無や内容には関連性が見られなかったが、図書館の規模、年度とFSの有無は関連性があることが示唆された。また、各市区の中央図書館にはFSがある傾向があったが、中央図書館にFSが多いことと図書館の規模が大きいことには関連がないことが分かった。

  • 吉田 泰寛, 吉川 徹
    原稿種別: 研究論文
    2019 年 18 巻 2 号 p. 182-184
    発行日: 2019/09/09
    公開日: 2022/06/08
    研究報告書・技術報告書 フリー

    人が、あるまちに個性や懐かしさを感じたりするのは、他のまちとは大きく異なる景観上の特徴が存在し,それを何度も目にしたからではないかと考えられる。そこで本研究では、駅前の広告に着目し、そのような特徴をもたらす要因を鉄道沿線別に探求した。調査対象は、京王相模原線、東武東上線の駅とした。研究方法としては、すべての駅前の写真を撮影し、広告の数と色の割合を分析した。その結果、両線ともに、ある駅を境として、上り方向と下り方向それぞれが共通の特徴を持っていた。また京王相模原線では開通年が駅の性格に影響し、東武東上線では乗降客数が駅の性格に影響していた。

  • 千葉市における人の動きに基づく拠点設定の提案
    和田 吉史, 薄井 宏行, 貞広 幸雄, 樋野 公宏
    原稿種別: 研究論文
    2019 年 18 巻 2 号 p. 185-188
    発行日: 2019/09/09
    公開日: 2022/06/08
    研究報告書・技術報告書 フリー

    近年多くの自治体が都市構造の向上のため立地適正化計画を策定している。しかし立地適正化計画においては拠点を利用する市民の空間的分布が考慮されておらず、このことが不適切な施策に繋がる恐れがある。そこで本研究では千葉市のGPSデータ分析によって拠点利用者の空間的分布を可視化し、人の流れや拠点の立地にどのような特徴があるか明らかにした。分析の結果、各拠点の後背地や利用しにくい地域をボトムアップ式に可視化することが可能であり、それらの地域は拠点までの距離のみで決定されるわけではないということが明らかになった。また拠点利用者の空間的分布から様々な都市構造の拠点利用者数を算出可能であり、拠点利用者の総数の観点から都市構造を比較し提案可能であることが明らかになった。

  • 物体検出とセグメンテーションによる調査項目と画像取得手法の提案
    井上 拓央, 柴戸 未來, 木村 達之, 真鍋 陸太郎, 後藤 智香子, 村山 顕人, 小泉 秀樹
    原稿種別: 研究論文
    2019 年 18 巻 2 号 p. 189-192
    発行日: 2019/09/09
    公開日: 2022/06/08
    研究報告書・技術報告書 フリー

    この記事では、画像認識技術の急速な進歩に伴う都市計画調査の方法と内容の変更の可能性について説明し、その後で人々の場所の知覚に関する予備調査の結果と都市画像を収集する方法を紹介する。 都市計画の分野では、画像認識技術の使用により、(1)土地利用と建物調査の効率を高めると同時にコストを削減でき、(2)空き家調査の頻度を増やし、(3)公共空間と私的空間の構成要素が人々による場所の認識にどのような影響を与えるのかに関する調査を可能にするといった効果が期待できる。人々による場所の認識については、予備調査の結果から道路上の特定の種類の物体が注目を集めていることが明らかになったため、その結果に基づいて都市景観画像から検出する必要のある物体や要素の項目について提案する。

  • 日野市と国分寺市を例として
    小林 利夫, 齋藤 海一, 西浦 定継
    原稿種別: 研究論文
    2019 年 18 巻 2 号 p. 193-196
    発行日: 2019/09/09
    公開日: 2022/06/08
    研究報告書・技術報告書 フリー

    平成29年の生産緑地法が改正により、生産緑地地区の面積要件は、それまでの500㎡以上であったのが、各自治体の裁量により、条例で300㎡以上に変更が可能とった。さらに、複数の生産緑地が連坦し、一団の生産緑地において、合計面積が面積要件以上になれば指定可能となった。この複数の農地が連坦して一団の生産緑地地区の指定を受ける場合、この連坦距離については、各自治体で設定することになっている。これまで、道路整備により面積要件を下回った場合は、指定解除されていたが、これからは、一団の生産緑地地区の指定を受けることが可能になった。今回、東京の日野市と国分寺市を対象に、対象の農地間の距離計測し、緑地の連続性や立地環境を評価した上で、どの程度の距離の設定が適切なのか検討した。

  • 相模原市を例として(その2)
    小林 利夫, 谷澤 佑太, 西浦 定継
    原稿種別: 研究論文
    2019 年 18 巻 2 号 p. 197-200
    発行日: 2019/09/09
    公開日: 2022/06/08
    研究報告書・技術報告書 フリー

    高度経済成長期を通して、地方公共団体において過去に整備された公共施設等がこれから大量に更新時期を迎える時期に差しかかっている。しかし、地方公共団体の財政は厳しい状況が続き、また人口構造の変化により、今後の利用形態が変化していくことが想定される。特に、集中投資した都市公園事業で公園施設の老朽化が進む中で、財政上の理由などで適切な維持補修、もしくは更新が困難な状況になっている。本論文では、神奈川県相模原市のGISデータ及び長寿命化計画資料等を用いて分析するとともに、SOMを用いてグループ別の公園の特性分析を行った。その中で、施設から利用のされ方を想定し、施設の評価を踏まえ、将来の人口変化を考慮した施設項目について考察した。

  • 相模湾沿岸における夏季海水浴場利用者を題材に
    海津 ゆりえ, 伊藤 渚生, 押田 佳子, 一ノ瀬 友博, 九里 徳泰, 田中 伸彦, 川合 康央
    原稿種別: 研究論文
    2019 年 18 巻 2 号 p. 201-207
    発行日: 2019/09/09
    公開日: 2022/06/08
    研究報告書・技術報告書 フリー

    自治体による防災計画では観光者は対象とされていない。観光地においての自然災害に対する観光リスク管理の基本は観光客自身の「自助」にある。本研究では自然災害のうち津波に焦点を当て、相模湾沿岸の主要な海水浴場における利用者の津波リスク意識を調査した。海水浴場は場所によって利用者属性や利用目的が異なり、津波へのリスク意識の差異が明らかとなった。遠方からの利用者が多い由比ガ浜(鎌倉)は、片瀬西浜(藤沢)やサザンビーチ(茅ケ崎)に比べて利用者の土地勘や津波リスク意識が低い傾向があることがわかった。居住地域を問わない自助意識やリスク意識、津波に関する正しい知識を培う必要が示唆された。

  • 岡村 祐, 日比谷 佳乃
    原稿種別: 研究論文
    2019 年 18 巻 2 号 p. 208-213
    発行日: 2019/09/09
    公開日: 2022/06/08
    研究報告書・技術報告書 フリー

    本研究は、観光案内所を立地・配置計画、建築計画、民間活用という都市施設計画の視点から捉え、歴史的展開のなかで、ターミナルを中心とした公的機関による拠点的な観光案内所の設置から、近年は観光立国推進のなかで、民間や基礎自治体の動きを取り込み、多様化・ネットワーク化する流れにあることを見出した。次に、それを担保する仕組みとして、東京都及び国が民間設置の観光案内所を指定・認定スキームを構築し、対象とする空間スケールに応じた配置の考え方や設備や・サービスの基準が示されていることを整理した。ただし、規模、アクセス、視認性など建築スケールでデザイン等の検討は未成熟であることも明らかとなった。さらに観光案内所の空間的・機能的特徴と設置者属性を調査した結果、観光案内所は主に、交通事業者が交通施設内部に設置するタイプ(キオスク型、ビジターセンター型)、行政が役所庁舎内に設置し観光協会が運営を行うタイプ、民間事業者が商業ビル内に設置するタイプを見出すことができた。

  • 独自の土地利用規制と都市計画提案制度を持つ条例の分析を通じて
    山添 光訓
    原稿種別: 研究論文
    2019 年 18 巻 2 号 p. 214-220
    発行日: 2019/09/09
    公開日: 2022/06/08
    研究報告書・技術報告書 フリー

    都市計画法等による土地利用制度(以下、「都市計画制度」。)が設けられているにも関わらず、多くの自治体においてまちづくり条例が制定されている。本稿においては、独自の土地利用規制や都市計画提案制度を持つ条例を対象に①計画制度、②開発行為等の届け出・協議対象、③担保措置に関し、一連の分析を行い、今後のまちづくり条例のあり方を考察することを目的とする。この結果、まちづくり条例は1)都市計画制度適用に至るまでの暫定措置や土地利用制度が希薄な地域における補完的意義が認められる、2)計画制度、届出・協議対象事業の設定、担保措置を含めた規定整備が望しいことが明らかとなった。

  • 国土交通省土地総合情報システムの不動産取引価格情報検索を活用して
    山添 光訓
    原稿種別: 研究論文
    2019 年 18 巻 2 号 p. 221-227
    発行日: 2019/09/09
    公開日: 2022/06/08
    研究報告書・技術報告書 フリー

    本稿は市街化調整区域における開発許可により、もたらされる開発利益の公的還元について問題提起を行うことを目的とする。市街化調整区域のまとまった開発可能地を擁する大阪府南河内地域(以下、「同地域」。)において開発許可により、市街化区域と同等の地価になったものと仮定し、その地価の差額を開発利益として試算を行う。その結果、2008-2017年における開発利益は319億円に達する。同地域の市町村は人口が減少し、税の減収傾向にあり、厳しい財政事情にある。開発利益の一部を目的税、分担金、条例に基づく開発負担金により公的還元することが望ましいと考えられる。

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