この研究は、鎌倉谷戸住宅地における近年の宅地開発の実態と、それに伴う空間構成の変容について明らかにしたものである。谷戸住宅地は、周囲を丘陵に囲まれ、緑豊かで良好な住環境を提供しており、その空間構成は、家屋を取り囲む樹木の緑や、板塀や石積み等の自然素材の利用によって特徴付けられる。しかし、近年、宅地分割等開発行為の増加により、谷戸住宅地の空間構成にも変化が生じている。開発が進行した地区と進行していない地区を比較すると、緑被の割合や自然素材の利用には大きな差異が見られた。また、開発が進行した地区においては、個々の住宅間にもこれらの割合に大きな差異が見られ、様々な外構形態の住宅が混在していることが判明した。