2020 年 18 巻 4 号 p. 314-317
東日本大震災により被災した複数の自治体が、被災した建築物や構造物を、震災遺構として整備する方針である。震災遺構には一定の整備・計画手法はなく、各自治体は復興の状況に応じて多様な手法で保存や整備を進めてきた。手法の一つとして条例を用いた例が挙げられる。本稿は、震災遺構の保存、整備、活用のために条例を策定した岩手県田野畑村、宮古市、気仙沼市、宮城県東松島市、山元町、福島県富岡町における9つの条例等について、条例等の内容や整備目的、体系を整理、考察した。震災遺構を復興祈念公園等と一体的な施設として位置付ける事例や、「保存活用計画」を定めて管理しようとする事例等が確認された。