都市計画報告集
Online ISSN : 2436-4460
水害対策に対する石の構造物と伝統知
滋賀県比良山系を事例として
落合 知帆
著者情報
研究報告書・技術報告書 フリー

2020 年 18 巻 4 号 p. 398-401

詳細
抄録

災害に対する対応は、地域の地理や地質的な特性に加えて、自然と人間との関係が顕著に表れる。かつて先人の水害対策や知恵は集落内で引き継がれてきたが、近年その機会が減っている。そこで本研究の目的を、滋賀県大津市の比良山地に位置する3集落を対象とし、地域に残る防水・砂防施設の遺構と集落住民が行っていた対策を明らかにすることとした。文献調査に加えて、古文書調査や古地図の解読、聞き取り調査および実測調査を行った。その結果、集落の山側の地質や地理的特徴によって、水害および土砂災害の被害は異なり、またその対処方法も集落により異なっていた。このため、集落に残る遺構と地域に残る伝統知を保存、活用することで、目に見える形で水害に対する伝統的な知識を身につける仕組みを作って行く事が重要である。

著者関連情報
© (c) 日本都市計画学会
前の記事
feedback
Top