2020 年 19 巻 2 号 p. 162-165
本稿は、ニューヨーク市におけるアフォーダブル住宅供給促進を目的とした公的支援の有効性を明らかにすることを目的としている。アフォーダブル住宅促進のために連邦政府、州政府、市政府では、開発事業者に対して低利融資、税制優遇、容積率緩和を提供している。本稿では、収益還元法を用いて公的支援を活用してアフォーダブル住宅を導入した事業と導入していない事業の都市開発の収益性を評価した。その結果、都市開発の収益性には税制優遇が最も大きな影響を与えており、次いで容積率緩和、低利融資が収益性の向上に影響を与えていた。しかし、税制優遇のみでは十分な収益性を確保することが困難であることから、複数の公的支援を提供することが重要である。