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管野 貴文, 奥村 蒼, 谷口 守
原稿種別: 研究論文
2020 年19 巻2 号 p.
119-124
発行日: 2020/09/07
公開日: 2022/06/08
研究報告書・技術報告書
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近年,主に地⽅にて地域づくりに地域の外から貢献する「関係⼈⼝」という概念が注⽬を集めている.地⽅の衰退が進⾏する今⽇において,本概念は重要な役割を担うと⾔えるが,⼈⼝の⼀極集中が続く我が国において,地⽅へと赴き活動を⾏う者が果たしてどの程度いるのか,またどのような活動を実施しているのかといった実態は明らかになっていない.本研究では,⼤都市圏発の訪問型関係⼈⼝に着⽬し,⽬的地構成について⼤都市圏からの距離と⼈⼝規模に基づく都市類型を⽤いた実態把握を⾏った.その結果,1)⼤都市圏発の訪問型関係⼈⼝における⽬的地の偏在,2)⽬的地によって活動および活動者の性質に差異が⽣じることが明らかとなった.
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JICAパーソントリップデータを用いて
岡野 圭吾, 松原 康介, 谷口 守
原稿種別: 研究論文
2020 年19 巻2 号 p.
125-130
発行日: 2020/09/07
公開日: 2022/06/08
研究報告書・技術報告書
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ダマスカスは,数千年に及ぶ歴史の中でギリシア,ローマ,イスラムなど様々な文化が重なり,狭い街路が入り組む市街地(城壁に囲まれたオールドダマスカス)が形成されてきた.近年ダマスカスでは,日本の技術協力のもと,歴史の保全と近代化という狭間で都市計画が行われてきた.JICAにより実施されたパーソントリップ調査の結果を用い,ダマスカスの交通行動(トリップ目的と交通手段)について分析し,東京都市圏PTと比較しながら考察した.その結果以下のようなことが明らかとなった.(1) トリップ目的は,郊外から都心へ通勤するトリップや郊外での通学トリップが多いなど,東京都市圏と似た傾向がみられた.(2) 交通手段は,セルビス(マイクロバス)の分担率が高いが,オールドダマスカスと郊外では徒歩の分担率が高いなどの傾向がみられた.
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京都府の郊外戸建て住宅地を事例として
吉田 友彦, 齋藤 雪彦
原稿種別: 研究論文
2020 年19 巻2 号 p.
131-134
発行日: 2020/09/07
公開日: 2022/06/08
研究報告書・技術報告書
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空き地の土地登記情報による間接的な分析考察ではあるが、土地分譲された戸建て住宅地における開発後一定期間経過後に転出した他出住民が、かつての居住地に通いながら種々の貢献をする「関連人口」としての可能性を推計した。他出住民を狭義と広義に分けて考えると、狭義の他出住民は関係人口としての特徴を明確に示していると考えられた。すなわち、455世帯のうち他出住民は14人でしかないが、地区に継続して40年間居住していた世帯144世帯の10%程度と見なすことができる。また、他出住民の多くは現在、京都市に居住している層が多く、自家用車で約55kmの距離であるので、関係人口としての往来が不可能であるとは言えない状況にある。
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天竜川下流マスコット・キャラクター「りゅっぴぃ」による展開事例
尾藤 文人
原稿種別: 研究論文
2020 年19 巻2 号 p.
135-137
発行日: 2020/09/07
公開日: 2022/06/08
研究報告書・技術報告書
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インフラの維持管理には膨大な費用や人材が必要である。これを解決するには、少子高齢化を迎える日本にとって、公費による所得の再分配機能は衰える一方で困難な状況である。そこで、例えば、野球チームやフットボールチームのエンブレムのようなシンボリックなデザインによって、「サーキュレーションする」、すなわち「広義な維持管理などをする」という意味である。例えば、「天竜川」と言っても一般的な「川」をイメージ出来ても、特定なイメージを持つ事が出来ないだろう。これをシンボルとしてマスコット・キャラクターを設定し、かわまちづくりに活かしたらどうだろうか。
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今村 洋一
原稿種別: 研究論文
2020 年19 巻2 号 p.
138-143
発行日: 2020/09/07
公開日: 2022/06/08
研究報告書・技術報告書
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本研究の目的は、『東京都下における旧軍用地並に旧軍用地建物調査』からータベースを作成したうえで定量的な分析をおこない、市区町村単位での旧軍用地と旧軍建物の分布状況を明らかにすることである。東京都内には、259件、3,584haもの旧軍用地があり、216件の旧軍用地に旧軍建物が残され、総延床面積は2,451千m2にも及ぶ。旧軍用地面積では多摩地域が過半を占める。市区町村別に旧軍用地面積を集計した結果、区部4区(新宿区、世田谷区、渋谷区、北区、練馬区)、多摩地域5市町村(立川市、小平町、昭和町、福生町、稲城村)が100ha以上であった。市区町村別に旧軍用建物の延床面積を集計した結果、区部1区(北区)、多摩地域3市町(立川市、府中町、小平町)が200千m2以上であった。
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都市計画における新しいモビリティの受容に向けて
冨士原 大介, 真鍋 陸太郎, 村山 顕人
原稿種別: 研究論文
2020 年19 巻2 号 p.
144-150
発行日: 2020/09/07
公開日: 2022/06/08
研究報告書・技術報告書
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電動垂直離着陸機(eVTOL)は、ヘリコプターの欠点を補う新しいモビリティの概念であり、近年実現に向けて開発が進んでいる。都市における公共交通として導入するには、社会的受容を考慮した地上インフラの整備が重要な課題の一つとなる。関連主体へのヒアリングと都市計画におけるヘリポートの規制等を参考に、日本におけるeVTOLの離着陸場の要件を整理した。これを踏まえ、東京圏をケーススタディとして、時間スケールと地域地区に応じた施設配置計画を検討した。結論として、社会受容のためには、都市計画の役割が求められる共に中長期の配置計画の策定が必要であると明らかになった。
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Climate Ready Bostonが今後進行する地区の踏査報告
村上 修一
原稿種別: 研究論文
2020 年19 巻2 号 p.
151-157
発行日: 2020/09/07
公開日: 2022/06/08
研究報告書・技術報告書
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アメリカ合衆国ボストン市では,Climate Ready Bostonという気候変動適応イニシアティブが進行中である。潮位上昇によって頻発することが予想される浸水被害の対策として,沿岸部の空間再編の計画が示されている。沿岸部の空間は,今後どのように変わるだろうか?2019年8月~9月に現地を踏査して沿岸部の現況を把握し,計画に関わっている景観建築家へのインタビューを行った。その結果を報告する。
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日本の区分所有法と米国のSuperpriority Lienとの比較論考
西浦 定継, 平 修久, 吉川 富夫
原稿種別: 研究論文
2020 年19 巻2 号 p.
158-161
発行日: 2020/09/07
公開日: 2022/06/08
研究報告書・技術報告書
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本論では、空き家管理の法制度に関する課題を整理する。対象は、日本における区分所有法と米国におけるHOA(Homeowner Association)かかわる先取特権制度である。本稿において指摘した論点は“戸建て住宅の場合は住宅地、集合住宅の場合は住宅建築物としての質を確保し続けるためには、どのような方策でもって、継続的に共有部分を管理していくか”ということである。個人の居住権の問題、住宅ローン債権者の権利の問題、管理組織における負担の公平性の問題など、数々のことが複雑に絡み合っており、また個別の案件によっても判断が異なってきている。米国のHOAをめぐるSuperpriority Lienについても、同様の問題を孕んでいる。両方に共通する課題も多く、両方を照らし合わせながら継続的に調査を行っていく。
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北崎 朋希
原稿種別: 研究論文
2020 年19 巻2 号 p.
162-165
発行日: 2020/09/07
公開日: 2022/06/08
研究報告書・技術報告書
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本稿は、ニューヨーク市におけるアフォーダブル住宅供給促進を目的とした公的支援の有効性を明らかにすることを目的としている。アフォーダブル住宅促進のために連邦政府、州政府、市政府では、開発事業者に対して低利融資、税制優遇、容積率緩和を提供している。本稿では、収益還元法を用いて公的支援を活用してアフォーダブル住宅を導入した事業と導入していない事業の都市開発の収益性を評価した。その結果、都市開発の収益性には税制優遇が最も大きな影響を与えており、次いで容積率緩和、低利融資が収益性の向上に影響を与えていた。しかし、税制優遇のみでは十分な収益性を確保することが困難であることから、複数の公的支援を提供することが重要である。
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シティ・オブ・ロンドンにおける都市開発の公共貢献を対象として
北崎 朋希
原稿種別: 研究論文
2020 年19 巻2 号 p.
166-173
発行日: 2020/09/07
公開日: 2022/06/08
研究報告書・技術報告書
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本稿は、近年の英国都市開発における公共貢献の創出手法の実態を解明することを目的としている。英国では、許可の売買という批判を集めた計画利益を抜本的に改善するため、都市開発による影響緩和を目的とした計画義務と開発利益の公共還元を目的としたCILに役割分担した。このように公共貢献の目的と対象を明確に分離することで、計画許可における協議プロセスの透明性を高めるとともに、不必要な公共貢献の創出を未然に防いでいる。加えて、計画義務で要求する公共貢献やCILによるインフラ整備は、多くの自治体においてローカルプランや補足的計画文書などで事前明示されている。計画義務における公共貢献は、多くの項目において定式化が積極的に進められており、行政による恣意性を排除する取り組みが行われている。
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東京都練馬区高松地区におけるケーススタディ
松村 優, 山口 忠志, 真鍋 陸太郎, 村山 顕人, 小泉 秀樹
原稿種別: 研究論文
2020 年19 巻2 号 p.
174-179
発行日: 2020/09/07
公開日: 2022/06/08
研究報告書・技術報告書
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田園住居地域は、農業の利便の増進を図りつつ、これと調和した良好な住環境を保護するための用途地域として2018年に創設された。具体的に指定に向けた検討を進める自治体もあり、制度自体も改善に向けて地区計画の創設も含めた運用が考えられている一方で、具体的な地域に即した制度内容の検討の蓄積が少ないと言える。本研究では「農の風景育成地区」に指定されている練馬区高松地区を対象としてケーススタディを行い、モデル農家が田園住居地域指定下で農業活動を継続できるようなシナリオを提案するとともに、田園住居地域指定の都市農業の継続に対する効果と同制度の活用可能性を考察した。農地の所有実態や土地利用等の条件を考慮したシナリオの検討と税負担の試算により、農家レストランなどの建築が可能になることによる農業経営の多角化、宅地化農地への固定資産税課税額の減免による負担減少などの田園住居指定による効果が具体的に示された。また、同制度の活用可能性としては、建築規制や税制などのインセンティブによる農業経営へのメリットに加え、交流拠点や子ども学びの場として農地を保全することによる地域への貢献も期待される。
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吉岡 健, 吉川 徹
原稿種別: 研究論文
2020 年19 巻2 号 p.
180-181
発行日: 2020/09/07
公開日: 2022/06/08
研究報告書・技術報告書
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本研究の目的は、都市計画の事業と制度の観点から、鉄道新線・新駅の開業に伴って、周辺地域の市街化が進んだ地域と進まなかった地域の差異を明らかにすることを目的とした。市街化の指標として人口や商業施設の増減に着目して分析を行ったところ、中長期的にいるとある程度市街化が進んでいる地域では、駅の開業による影響は小さく、より詳細な開発計画が必要であると示唆された
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商業集積の施設数変化に着目して
宮本 勇希, 吉川 徹, 讃岐 亮
原稿種別: 研究論文
2020 年19 巻2 号 p.
182-185
発行日: 2020/09/07
公開日: 2022/06/08
研究報告書・技術報告書
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本研究は、日本の地方都市の中心市街地において、再開発事業による大規模ビルの建設とその周辺の店舗数の変化との関係を明らかにすることを目的としている。本研究では、目的変数を事業完了前後の施設数の変化率とした重回帰分析を用いて、この関係を明らかにした。分析の結果、再開発事業による建物の特性は、再開発地から 400m 以内の地域には影響があるが、800m 以内の地域では影響が小さいことが明らかになった。
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細田 隆, 瀬田 史彦
原稿種別: 研究論文
2020 年19 巻2 号 p.
186-191
発行日: 2020/09/07
公開日: 2022/06/08
研究報告書・技術報告書
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近年、地方自治体のスポーツ政策は、スポーツ振興だけではなく、まちづくりや地域活性化を目的とするように変化している。一般的に、地方自治体が政策を実施する際は、最上位計画である総合計画を策定する。総合計画は、中長期的で総合的な計画であり、同時に、各部門の個別計画を策定して、施策や事業を実施している。地方自治体がスポーツ政策を実施する場合でも、同じプロセスを経ている。最近では、地方自治体のスポーツ政策は、地方の課題に応じて、多くの分野に横断的展開をしている。本論文は、地方自治体が総合計画にどのようにスポーツ政策を位置付けているのか、また、スポーツ政策がどの分野に広がりを見せているのか明らかにすることを目的とする。
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MaaS概念に則った定額制乗り放題サービスに向けて
藤垣 洋平, 髙見 淳史, 小泉 秀樹
原稿種別: 研究論文
2020 年19 巻2 号 p.
192-195
発行日: 2020/09/07
公開日: 2022/06/08
研究報告書・技術報告書
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複数の交通手段を対象にした定額制乗り放題サービスが交通行動に与える影響に関して、基礎的な知見を得ることを目的として、複数の交通手段が乗り放題である状態の交通行動についての調査及び分析を実施した。対象地域は神奈川県川崎市の新百合ヶ丘駅周辺であり、2020年3月に実施されたオンデマンド交通の実証実験と同時期に調査を実施した。調査では、対象地域内の居住者から被験者を募集し、移動日誌調査及び移動に関するインタビュー調査を実施した。その結果、柔軟な移動が可能なオンデマンド交通が存在し、かつ乗り放題である状態にあっても、大半の移動で路線バスを引き続き利用する利用者が存在するという結果が得られた。
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林 歩実, 小塚 みすず
原稿種別: 研究論文
2020 年19 巻2 号 p.
196-201
発行日: 2020/09/07
公開日: 2022/06/08
研究報告書・技術報告書
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地域活性化のための空間として整備されたみなとオアシスは全国に100箇所以上設置されている。本研究は、アンケート調査により、運営状況を調べるとともに、地域への効果を明らかにすることを目的とする。調査対象は国内の132のエリアに設置されているみなとオアシスとした。調査の結果、施設の整備状況、来訪者の往来、エリア内の移動環境、課題がなどを明らかにした。さらに、数量化理論第Ⅱ類を用いてみなとオアシス設置による地域への効果を分析した。「地域外への周知」や「観光客など交流人口の増加」などが地域振興に良い影響を与える傾向にあることが明らかとなった。
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滋賀県米原市の入江内湖干拓地を事例として
萩原 和
原稿種別: 研究論文
2020 年19 巻2 号 p.
202-209
発行日: 2020/09/07
公開日: 2022/06/08
研究報告書・技術報告書
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本稿は、高度成長期において市街地近接の干拓地の景観がどのように変化したかを明らかにする。特に対象地は、第二次大戦中の食糧不足解消のため、「入江内湖」を食糧増産の目的から農地に転換した経緯がある。その後は、永らく営農がされてきており、伊吹山を背景にして美しい田園景観が保全されてきた。近年は、米原駅にほど近いため、干拓地の縁辺部において宅地開発が進行しつつある。加えて国道8号バイパス(米原バイパス)の建設で大きくまちの構造が変化しつつある。この開通によって、不特定多数の人々が入江地区を通過するようになり、その結果、伊吹山の景色を共有することが容易になったといえる。本報告において、バイパスから眺める景観要素を検証した結果、平地にある当該地区の景観要素としては田園空間が主体であるが、近年の宅地開発が干拓地の中にも広がっていることがわかった。また、干拓以降に繁茂した雑木は景観要素として大きな存在感を示している。今後は、景観修景の観点からも意図的に雑木を保全することは意義深いのではないかと考えられる。
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位置情報ビッグデータを用いた分析
雨宮 護, 佐野 雅人, 藤井 さやか, 鈴木 勉, 大澤 義明
原稿種別: 研究論文
2020 年19 巻2 号 p.
210-213
発行日: 2020/09/07
公開日: 2022/06/08
研究報告書・技術報告書
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新型コロナウイルス感染症の拡大は人々の都市活動に大きな影響を与えたと言われているが,実際の公園利用への影響は実証的には確認されていない.本報告では、スマートフォンのGPSログから生成された位置情報ビッグデータを用いて、新型コロナウイルス感染症拡大,自粛要請時の人々の公園利用状況を分析した。データ分析の結果、同期間における人々の公園の利用が全体的には減少した一方で、一部の公園では利用が増加していることが明らかになった。特に、平日は周辺に建物がない公園の利用が増加し、週末は戸建て住宅が多い公園の利用が増加していた。
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多文化共生防災まちづくりの可能性
長谷川 聡, 李 燕
原稿種別: 研究論文
2020 年19 巻2 号 p.
214-217
発行日: 2020/09/07
公開日: 2022/06/08
研究報告書・技術報告書
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本研究では、防災を通じた多文化共生まちづくりの可能性を探るため、日本人と外国人の防災意識について報告する。インタビューは、防災を行う上で重要な要素である3つの視点(自助、共助、公助)からの意識の違いを明らかにするために実施された。その結果、「自助」は知識のギャップにより日本人学生と留学生の意識に明確な違いがみられ、災害時に留学生が地元の人々と同じ行動を取るのは難しいことが分かった。しかし、両学生には「共助」と「公助」に関しての明確なギャップは見られなかった。特に共助に関しては、留学生は言語や知識の壁があるにもかかわらず、災害時に地元コミュニティを助ける意欲が高い。本研究は、日本の地域社会が高齢化と弱体化の問題に直面している現在、外国人を災害弱者として扱う代わりに、共助のスキームに彼らを取り込むことが重要であると指摘した。
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小木曽 裕
原稿種別: 研究論文
2020 年19 巻2 号 p.
218-223
発行日: 2020/09/07
公開日: 2022/06/08
研究報告書・技術報告書
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区画整理事業の集合住宅地配置で、先買方式により一団の土地を集合住宅とした事例を取り上げた。住宅地の容積率の効率では、南下がりが有効と考えられるが、本研究では北下がり地形を活かした集合住宅地を研究対象とした。その結果、少し広めにとられた住棟間にある傾斜と芝地等のアンジュレーションが美しい・長年の植物管理もその場に合う様に管理されているなどの評価できることが示唆された。
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各区画と前面道路・隣地との高低差に着目して
元吉 裕樹, 野澤 千絵
原稿種別: 研究論文
2020 年19 巻2 号 p.
224-231
発行日: 2020/09/07
公開日: 2022/06/08
研究報告書・技術報告書
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高度経済成長期に整備された大都市近郊の計画的住宅団地は、一斉に同世代が入居したため、近年、住宅団地の住宅と居住者の老いが同時に進行しており、今後、相続に伴う空き家・空き地化の進行、住環境の悪化、地域全体の活力低下などが懸念されている。本研究では、1960年~1970年代に開発された東京近郊の高経年計画的住宅団地(計8地区)を対象に各区画(全区画数計15478)の地盤面(以下、GL)と前面道路・隣地との高低差の有無を視点に、開発当初からの区画変化・土地利用変化の実態を明らかにし、各区画及びGLと前面道路・隣地との高低差の有無を視点に、今後、高経年計画的住宅地で大量に相続が発生することを前提に、既存住宅の流通以外の土地活用の可能性を考察することを目的とした。各区画のGLと、前面道路・隣地との高低差の有無に着目して分析した結果、各区画GLと前面道路との高低差がある区画に比べて、高低差がない区画の方が区画変化・土地利用変化が多く見られた。特に各区画GLと前面道路との高低差がなく、隣地との2方向以上平坦の区画での区画変化・土地利用変化が多かった。
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八女福島伝建地区での事例研究
内野 絢香, 加藤 浩司
原稿種別: 研究論文
2020 年19 巻2 号 p.
232-238
発行日: 2020/09/07
公開日: 2022/06/08
研究報告書・技術報告書
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本研究では、伝建地区である歴史的市街地の空き地を利用してつくられている園芸スペースが、地域住民の交流の活性化に影響を与え、近隣住民との良好な関係性を支える一因になっていることを明らかにした。本研究が対象とした事例は、空き地の一部を半公共的に利用し、近隣住民が園芸スペースに変えた。このような状況を招いたのは、空き地と道路の接続条件や、土地のレベル差などといった特性によるものと考えた。本研究の特徴は、福岡県八女福島伝建地区の近隣住民が手入れしている庭を30日以上観察調査し、上記の現象を考察することである。
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西 昭太朗, 饗庭 伸
原稿種別: 研究論文
2020 年19 巻2 号 p.
239-244
発行日: 2020/09/07
公開日: 2022/06/08
研究報告書・技術報告書
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Minecraftを用いたまちづくりWSの開発を目的として再現、空間把握、議論の3つから可能性と課題について検証した。再現の可能性は【都市】-【建物】の規模で再現できる点で、課題は【ファニチャー】などの小さいスケールについては再現が難しい点である。空間把握の可能性は俯瞰と地面レベルの2つの視点から【都市】、【建物】規模の空間を把握できる点で、課題は【ファニチャー】など小さいスケールの空間把握は難しい点である。議論の可能性は、他の参加者と同じ視点で議論できる点で、課題は会話中心でWSが進行し実際のまち歩きよりも各参加者の独自の視点が少なくなる点である。
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那須 毅寛, 真鍋 陸太郎, 村山 顕人
原稿種別: 研究論文
2020 年19 巻2 号 p.
245-252
発行日: 2020/09/07
公開日: 2022/06/08
研究報告書・技術報告書
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防潮堤建設や⽔質の悪化などを受けて、都市の裏側の存在だった都市部の⽔辺が、貴重なオープンスペースとして注⽬されてきている。中でも、カヤックやSUP(Stand Up Paddle)などの都市河川を漕ぐ活動について、促進策が議論されているが、現時点で、その活動が都市に与える影響は明らかになっていない。そこで本研究では、都市河川におけるカヤック・SUP活動の現状を概観した上で、まず、これらの活動が、カヤック・SUP活動団体の運営や河川環境改善などのレクリエーション以外の活動への関心に与える影響を明らかにする。次に、カヤック・SUP団体の活動の実態把握を通じ、これらの活動を可能とする河川及び都市空間の要件を明らかにし、活動の促進に向けた⽅向性を検討する。本研究を通じて、都市河川におけるカヤック・SUP団体は、都市住⺠に対し、桟橋や親⽔護岸を利⽤した安全な⽔⾯へのアクセスを提供すると同時に、その活動が、利⽤者の環境に対する問題意識を⾼め、川やまちへのかかわりを促す可能性があることが分かった。また、都市河川におけるカヤック・SUP団体の活動が、地域や⾏政のまちづくり活動の⼀環として位置付けられる例もあり、河川を含めた都市環境の改善、まちづくりに⼀定の貢献があることが明らかになった。
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横浜市内のまちづくり拠点を対象として
小川 明穂, 野原 卓
原稿種別: 研究論文
2020 年19 巻2 号 p.
253-256
発行日: 2020/09/07
公開日: 2022/06/08
研究報告書・技術報告書
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近年、様々なエリアでまちづくり拠点を介した活動が注目されている。まちづくりを行う場が存在することで、活動の認知度や参加のしやすさが上がる等メリットがある。特に横浜市においては、地区センターや地域ケアプラザなどの固有なものを含め、様々な拠点が存在する。一方でまちづくり拠点の定義は明確になっておらず、これらを体系だって整理したものは存在しない。本論文では、まちづくり拠点の持つ機能に着目し、横浜市内のまちづくり拠点へアンケート調査を行うことで、これら拠点の現状や機能、役割を明確にすることを目的とする。さらにこの結果から発見された新たなタイプの拠点であるみなまきラボへのヒアリング調査から、今後のまちづくり拠点の在り方に対する示唆を得る。
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大野 浩史, 菊池 雅彦, 小嶋 文, 加藤 哲平, 久保田 尚
原稿種別: 研究論文
2020 年19 巻2 号 p.
257-262
発行日: 2020/09/07
公開日: 2022/06/08
研究報告書・技術報告書
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現在,日本政府は,東京一極集中緩和のため,地域との繋がりを構築し,地域へ新たな人の流れを生み出す取り組みを強化している.地域との繋がりの構築において注目されている「関係人口」は,人々の地縁・血縁と関連する事が示唆されている.地域との所縁がある住民意識を表す際に「故郷」等の用語がしばしば用いられるが,「故郷」に対する住民意識の実態は十分には明らかにされていない.本研究では,地域活性化の基礎情報として活用する事を目的に,埼玉県在住者を対象とした調査を行い,居住履歴の分類から,「故郷」に関する意識,「故郷」のまちづくりへの参加意欲と移住可能性,「故郷」への訪問頻度の関係等を明らかにした.調査の結果,埼玉県で生まれ育った人々の多くは,「故郷」と意識している地域が祖父母や父母の出身地方ではなく埼玉県であり,「明確な「故郷」を持たない」という人は少数であった.また,地方出身の1代目の多くは現住所以外を「故郷」と意識しており,「故郷」への訪問頻度は多く,「故郷」と意識する地域のまちづくりへの参加意欲も高いことが分かった.
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川合 智也, 鎌田 秀一, 森本 章倫
原稿種別: 研究論文
2020 年19 巻2 号 p.
263-270
発行日: 2020/09/07
公開日: 2022/06/08
研究報告書・技術報告書
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現在我が国ではICTを駆使して都市の諸問題を解決する交通,エネルギー,安全・安心等の分野を含めた分野横断型スマートシティの政策が進む.しかし,分野横断型スマートシティ実現には課題があり,データを活用した都市の最適化には至っていない.そこで本研究では,データの利活用方法としてサイバー空間上に都市を再現するデジタルツインシティに着目し,分野横断型スマートシティへの活用にあたっての課題と必要となるデータを整理した。その上で日本の地方中核都市と海外の先進事例と比較して,我が国の統合型プラットフォームの現状と課題を整理した.課題解決には,官民一体となった統合型プラットフォームの整備,都市活動をリアルタイムかつミクロに把握するために必要なセンシング機器の都市全体への整備,官民のデータをオープン化し,官民で共有する方策を提案した。
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村尾 修, 山田 滉人, 田中 智大
原稿種別: 研究論文
2020 年19 巻2 号 p.
271-276
発行日: 2020/09/07
公開日: 2022/06/08
研究報告書・技術報告書
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将来的に開発が進んでいくヤンゴンにおいて,持続的な都市開発を行うためにも防災的な視点を持ち続けることが必要であり,スラムに関する知見を得ることは重要な課題である.こうした背景の中で,スラム居住者の生活実態を明らかにし,生活に対する居住者の意向を把握することを目的として,通称「555」と呼ばれるスラム地区で調査を行った.本稿では,調査によって得られた世帯情報,居住の経緯,住居の所有権,インフラ,住宅状況,災害に対する認識,居住者の将来に対する意向に関する分析結果を報告する.
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ガイドラインの実装化に着目して
長村 佳子, 福岡 孝則
原稿種別: 研究論文
2020 年19 巻2 号 p.
277-279
発行日: 2020/09/07
公開日: 2022/06/08
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本研究はアクティブデザインガイドライン(ADG)の作成契機から実装までの流れを文献調査とインタビュー調査により取りまとめた。ADGは“健康”という包括的な課題解決を目的とし生活環境への介入に踏み込んだ取り組みである。ガイドラインの作成にあたり部局横断的な議論が定期的に行われ、かつガイドラインの草案を多部局でレビューを行なったことはガイドライン自体の汎用性を高めたと考えられる。ガイドライン作成後、技術支援やデジタルツール提供のためのプラットフォームとしてCenter for Active Designが設立されたこと、とりわけ市長による行政命令は各部局でアクティブデザイン(AD)が応用され、具体的なプロジェクト取り入れられた要因であったと考えられる。
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インターネット地図機能を用いた基礎的広域調査
于 子珂, 岡崎 篤行
原稿種別: 研究論文
2020 年19 巻2 号 p.
280-281
発行日: 2020/09/07
公開日: 2022/06/08
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町屋は、地域の文化や歴史を示し、棟向きはその町並みを構成する重要な要素である。現存している民家に対して研究は主に農家を対象としており、町屋の研究を進んできたが、全国の実態が網羅的明らかになっていない。棟向きは集落単位で局所的に変化する場合があることが明らかにされている。また、町屋は減少傾向にある為調査は急務である。そこで本研究では、宮城県を対象地とする。グーグルストリートビューを用いて①町屋の残存状況、②町屋の棟向きの分布状況を明らかにする。
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新潟県下越・佐渡地方を対象として
中野 稜子, 岡崎 篤行
原稿種別: 研究論文
2020 年19 巻2 号 p.
282-283
発行日: 2020/09/07
公開日: 2022/06/08
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近年、日本酒の年間消費量、製造免許場数は減少傾向にあり、酒蔵の持つ地域的特性が失われてしまう可能性がある。一方で、酒蔵の観光資源化の動きが各地で見られ、地域活性化へとつながりつつある。しかし、現在、全国の酒蔵の残存状況や活用の実態は明らかになっておらず、網羅的な調査を行う必要がある。そこで全国的調査の先駆けとして、本稿では酒蔵保有数が全国一位の新潟県の下越および佐渡地方を対象とし、主に酒蔵建築の立地と活用実態とを明らかにする。
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新型コロナウイルス感染症に伴う路上客席の緊急措置に関する速報的考察
泉山 塁威, 西田 司, 石田 祐也, 宋 俊煥, 矢野 拓洋, 濱 紗友莉, 小原 拓磨
原稿種別: 研究論文
2020 年19 巻2 号 p.
284-289
発行日: 2020/09/07
公開日: 2022/06/08
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本稿では,「コロナ道路占用許可」の調査による速報的考察を行うことで,路上客席の現状把握から可能性と課題を抽出することを目的とする.分析は,「コロナ道路占用許可」の枠組みの整理,30自治体の実践事例の整理,主体の分析,空間の分析を行っている.なお,「コロナ道路占用許可」に伴う路上客席は空間面・マネジメント面などウォーカブルや歩行者利便増進道路などの歩行者中心のストリートに向けた現状把握にもなることから,路上客席の先に歩行者中心のストリートへの政策への接続についても問題意識を持っている.
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