本稿は、近年の英国都市開発における公共貢献の創出手法の実態を解明することを目的としている。英国では、許可の売買という批判を集めた計画利益を抜本的に改善するため、都市開発による影響緩和を目的とした計画義務と開発利益の公共還元を目的としたCILに役割分担した。このように公共貢献の目的と対象を明確に分離することで、計画許可における協議プロセスの透明性を高めるとともに、不必要な公共貢献の創出を未然に防いでいる。加えて、計画義務で要求する公共貢献やCILによるインフラ整備は、多くの自治体においてローカルプランや補足的計画文書などで事前明示されている。計画義務における公共貢献は、多くの項目において定式化が積極的に進められており、行政による恣意性を排除する取り組みが行われている。