2021 年 19 巻 4 号 p. 385-388
立地適正化計画の普及に伴い、駅勢圏人口を重視したまちづくりを行う例が増えている一方で、人口の単純な増減を見るだけでは、市街地の実態を十分に把握できない場合がある。本稿では、駅勢圏人口の推移に係る特徴を理解する為の基礎資料として、1995~2015年の国勢調査基本単位区集計人口データから駅勢圏人口の変化を全国的に分析し、特に立地する自治体全体の人口変化と比較した駅勢圏人口の相対的な人口集中度を考慮した上で、その傾向を論じた。分析の結果、全国の駅勢圏人口は1995~2015年で600万人以上増加していること、また、駅勢圏人口は鉄道駅の開業年数に反比例する傾向にあるが、開業後50年以上が経過した駅の駅勢圏でも、商業地域や、地方圏の市街化区域内であれば、比較的人口レベルが維持・増加する傾向が確認された。