2021 年 19 巻 4 号 p. 389-395
人口減少や高齢化が進む現代において地域構造やコミュニティの再編が求められており、その中で自治公民館が今後担うべき役割や活動を検討していく必要がある。
本稿では自治公民館で開催された各種活動の変遷に着目し、人口動態と人口構造による変化が活動に与えた影響を明らかにすることを目的とする。研究対象は、地方既成市街地である兵庫県丹波市柏原町内の3つの自治公民館とする。各公民館で実施された活動の把握は各公民館が発行する公民館誌もしくは活動報告書から得た。その結果、人口動態については、人口増加期では幅広い世代を対象とした活動が展開され、減少期には世帯を対象とした活動と、その変化により活動の主たる対象が変化していることが明らかになった。また、高齢化の進行と自治公民館の活動から活動の担い手が高齢者であることが明らかになった。しかし、その割合が高くなるにつれ、活動を制限してしまう可能性があることも示唆された。