2003 年 2 巻 1 号 p. 1-7
本稿の目的は、東京の土地利用規制と交通の問題を考えるにあたり、基礎となるデータの共有化を図ることである。著者らは、主要用途別の交通発生集中原単位を手段別・時間別に算出し、混雑への影響を直接的に比較した。この結果、事務所による鉄道朝ピーク時の負荷量は約220/tr/ha/hと圧倒的に大きいこと、店舗による負荷は朝の鉄道では小さいが昼間の自動車では事務所の2~3倍になること、住宅の負荷は顕著に小さいこと等を示した。また、こうした原単位は変化するものであり、事務所の1人当たり床面積が近年大幅に拡大したこと、20年間に東京都区部の事務所床面積が倍増したにもかかわらず、業務目的の自動車交通量は6割程度に減少したこと等を指摘している。