2021 年 20 巻 1 号 p. 1-7
本研究は、原発事故が発生してからの10年間における農業復興事業の実績を整理するとともに、農業復興の現状と今後の課題を明らかにすることを目的とするものである。本研究を通じて、(1)事故後10年を迎えてもなお、福島県59市町村の農業被害は解消していないこと、(2)原子力被災12市町村の農業復興が特に進んでおらず、課題が山積みであること、(3)農業復興に向けた新たな取組が進められ、今後の推進が期待されていることなどが明らかになった。以上を踏まえ、市町村の実態に沿った支援をしていくこと、風評被害の払拭のための新たな取組が必要であることを指摘している。