2021 年 20 巻 1 号 p. 14-21
高度成長期から約半世紀を経た2020年の現在でも,景観保全の促進よりも都市開発による経済性が優先される傾向が強い。特に「生活景」など日常の風景は忘れられがちであり,そこに住まう住民の景観保全への意識も必ずしも高くはないことが多い。このような状況下で景観の保全に取り組む人々が合意形成を図ることは可能なのか,そして可能ならばどのように行われているのであろうか。本稿では,現在全国各地で行われているまちづくりが展開されていった経緯に基づき,景観保全という1つの分野の視点を用いて,この側面から生活景保全における住民の合意形成プロセスを分析した。