2021 年 20 巻 3 号 p. 284-291
買物弱者問題は日本における都市計画上の大きな課題である.移動販売はこの解決策の一つとして有力視されている.しかし,移動販売に関する研究蓄積,特に都市部における知見は十分とは言えず,計画行政に資する情報を提供し切れていない.そこで本研究では,都市部における移動販売の実態を把握し,販売形態・販売地点の分析により,移動販売は顧客に買物を段階的にサポートする役割と社会と接する機会の提供を与えることが明らかになった.また,一方で,特に公道などの路上における販売は法制度上許可を得ることが難しいこと,地域の特性によってはプライバシー意識の高さにより移動販売の利用に対して抵抗感があるなどの課題も明らかになった.