都市計画報告集
Online ISSN : 2436-4460
20 巻, 3 号
都市計画報告集
選択された号の論文の9件中1~9を表示しています
  • 内田 早紀, 貞広 幸雄
    原稿種別: 研究論文
    2021 年 20 巻 3 号 p. 284-291
    発行日: 2021/12/03
    公開日: 2022/06/08
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    買物弱者問題は日本における都市計画上の大きな課題である.移動販売はこの解決策の一つとして有力視されている.しかし,移動販売に関する研究蓄積,特に都市部における知見は十分とは言えず,計画行政に資する情報を提供し切れていない.そこで本研究では,都市部における移動販売の実態を把握し,販売形態・販売地点の分析により,移動販売は顧客に買物を段階的にサポートする役割と社会と接する機会の提供を与えることが明らかになった.また,一方で,特に公道などの路上における販売は法制度上許可を得ることが難しいこと,地域の特性によってはプライバシー意識の高さにより移動販売の利用に対して抵抗感があるなどの課題も明らかになった.

  • 兵庫県立北摂三田高等学校と兵庫県立大学との高大連携事業を事例に
    太田 尚孝, 米正 竜太
    原稿種別: 研究論文
    2021 年 20 巻 3 号 p. 292-297
    発行日: 2021/12/03
    公開日: 2022/06/08
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    本稿の目的は、2021年8月に実施した兵庫県立北摂三田高等学校人間科学類型1年生と兵庫県立大学環境人間学部都市計画研究室との高大連携事業の報告である。この事業の特徴は、2日間の短期集中型であり、高校生と大学生が共に学ぶ機会を設けたことである。開発した教育プログラムの成果として、以下の3点があげられる。1)プログラムの設計段階からの高校と大学の対等な協力関係が適切な役割分担と教育内容の充実化につながった。2)参加した高校生と大学生へのアンケート調査結果は大部分が肯定的評価であった。3)今回の事業は成功したとはいえ、継続的活動を行い都市計画とのつながりを明確化するためには解決すべき課題は多い。

  • 高木 悠里, 嘉名 光市, 蕭 閎偉
    原稿種別: 研究論文
    2021 年 20 巻 3 号 p. 298-305
    発行日: 2021/12/03
    公開日: 2022/06/08
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    大阪を代表する街路である御堂筋では、建築物の形態の規制・誘導施策のもと、連続する壁面やスカイラインによって整然とした景観が形成されてきた。しかし近年は、行政やエリアマネジメント団体による地域ルールを運用した「対話型」の景観マネジメントの段階に移行しようとしている。本研究では、はじめに御堂筋における対話型景観マネジメントの現状を整理した。次に、地域ルールの適用状況について現地調査を行った。次に、御堂筋の景観に対する評価について、沿道企業勤務者を対象にアンケート調査を行った。これらを踏まえて、御堂筋の景観マネジメントの評価を分析した。

  • 高木 悠里, 嘉名 光市
    原稿種別: 研究論文
    2021 年 20 巻 3 号 p. 306-312
    発行日: 2021/12/03
    公開日: 2022/06/08
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    本研究では、地域における様々な主体が地域の景観をマネジメントする取組を「景観マネジメント」と定義し、全国アンケートを通じて、地域団体による景観マネジメントの現状を把握・分析した。景観マネジメントを分析するためのアンケートの枠組みとして、「景観形成ルールの策定・運用」、「景観形成事業」、「公共施設・公共空間の整備等」、「空家・空店舗、空地対策」、「イベント等による賑わい創出」、「農地や田園風景の保全」、「祭礼や伝統行事の継承」の項目を定めて分析した。次にケーススタディとして、愛知県岡崎市の「藤川宿」を抽出した。藤川宿は歴史的な町並みを有する地方都市であり、地域団体によって様々な景観マネジメント活動が行われている。藤川宿の地域団体及び行政へのヒアリング調査を通じて、景観マネジメントの展開プロセスを分析した。

  • 佐本 啓行, 宮川 智子
    原稿種別: 研究論文
    2021 年 20 巻 3 号 p. 313-317
    発行日: 2021/12/03
    公開日: 2022/06/08
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    本研究では今後人口が減少していくと予想されるニュータウンの一例として南海橋本林間田園都市を対象として空き地・空き家の分布状況を調査し、今後のニュータウンの維持に対する課題を把握することを目的としている。南海橋本林間田園都市において現地調査・資料調査を行い地域ごとの比較を行った。その結果小学校から徒歩10分以上離れているエリアでは空き家率が高くなることが明らかになった。また、宅地が売れ残っているにも関わらず空き家が発生しているという地域も見られた。20年分の資料調査から空き地利用に関しては、計画的に駐車場として利用されてきたものが多く近年は駐車場は増加していないことが分かった。

  • 島ノ江 彩加, 雨宮 護, 島田 貴仁
    原稿種別: 研究論文
    2021 年 20 巻 3 号 p. 318-323
    発行日: 2021/12/03
    公開日: 2022/06/08
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    近年、日本では交番や駐在所の統廃合が進んでいる。本稿では、2015年から2020年の間で、交番・駐在所の廃止と地域住民の犯罪不安と被害リスク認知の関係を数値地図25000と犯罪に対する不安感等に関する調査を用いて検証した。交番・駐在所それぞれの変化なし市区町村と減少市区町村の回答者の犯罪不安と被害リスク認知の差をt検定で明らかにした。分析の結果、交番では減少市区町村ほど犯罪不安と被害リスク認知が低く、駐在所では減少市区町村ほど犯罪不安が高い傾向がみられた。

  • さいたま市西区荒川・鴨川流域を事例として
    中口 毅博, 杉山 峻太
    原稿種別: 研究論文
    2021 年 20 巻 3 号 p. 324-329
    発行日: 2021/12/03
    公開日: 2022/06/08
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    本研究は、さいたま市の荒川・鴨川流域を対象とした水害発生時の避難行動シミュレーション動画を用いて、地区内の中学生などに対する学習会を開催しその効果測定を行うこと で、災害弱者(以下、要配慮者と称する)を支援する意識の変化について分析した。その結果、以下のことが明らかになった。 避難行動シミュレーションでは浸水に巻き込まれてしまうシナリオAと、自身が助かるだけでなく避難誘導者として要配慮者の人を助けるというシナリオBを作成することで、災害への備えや早めの避難を促すためのわかりやすい資料を作成することができた。 避難行動シミュレーションを活用した学習会の開催が、住民の防災意識向上に有効であることが明らかになった。

  • 大西 暁生
    原稿種別: 研究論文
    2021 年 20 巻 3 号 p. 330-333
    発行日: 2021/12/03
    公開日: 2022/06/08
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    日本の自治体の多くが抱える問題の1つとして、人口減少が挙げられる。この問題は、政令指定都市においても例外ではなく、地域によっては人口減少が進むことが予想されている。横浜市の人口増加の特徴は、南北方向で異なる。また、各地域の特徴も東西南北の地域によって異なる。そのため、横浜市において人口減少対策を検討する場合、少なくとも区レベルにおいて人口動態の特徴を把握することが重要となる。本研究では、横浜市の区を対象に人口の推移をもとに、人口増加数、社会増加数、自然増加数の特徴を区ごとに分類し評価した。そして、これらの分類をもとに、同じような特徴を持つ区や異なる区をまとめることで、今後の人口推移について展望した。

  • 昭和中期の料理屋の組織及び分布に着目して
    久保 有朋
    原稿種別: 研究論文
    2021 年 20 巻 3 号 p. 334-340
    発行日: 2021/12/03
    公開日: 2022/06/08
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    花街は、日本の伝統文化を包括的に継承する希有な空間である。花街は大正から昭和初期、昭和中期に興隆期を迎えた。本研究では、当時全国屈指の花街地区数であった新潟県を対象として、資料の乏しさからこれまで明らかにされていなかった戦後興隆期における料理屋の組織及び分布の実態を明らかにする。主な調査結果は以下の通りである。(1)昭和38年時点で、新潟県内には料理業組合が少なくとも19地区の花街に存在していた。(2)料理屋の軒数について、昭和中期には574軒が県の料理業組合連合会に加盟しており、内約2割は現在も営業している。(3)料理屋の分布傾向として、一定の区画に集積していた地区が約9割であり、その多くは旧来の商店街や駅前周辺に立地する傾向が読み取れた。

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