2022 年 20 巻 4 号 p. 405-408
堤防が不連続である霞堤は,堤防のすき間をとおしてまちと川との近しい関係を創出すると予想される。既報において国内48水系296箇所のうち公園緑地としての利用が確認された38箇所について,堤防のすき間によるまちから川に対する可視性や接近容易性の検証が,この仮説を実証するための課題として残されている。本稿は,38箇所のうち土器川の3箇所を踏査した結果の報告である。踏査の結果,以下のことが判明した。1)まちから川に対する可視性や接近容易性を低下させる要素として,かさ上げされた地盤,樹林,建物や施設,立入の規制された土地が存在する。2)霞堤であることが利用者にとって認識可能な空間的特徴を公園緑地が有する。