花街は日本の伝統文化を継承した貴重な娯楽空間である。本研究は、近代に成立した芸妓中心の花街における成立経緯の全国的傾向を明らかにすることを目的とする。そのために、本稿では芸妓中心の花街の成立時期並びに成立までの地区の性質の変遷を整理・分析し、類型化を試みる。主な結論は以下の通りである。(1)芸妓中心の花街は明治期に成立した地区が全国的に多い傾向が確認された。(2)東京では、江戸―大正期にかけて初めから芸妓中心の花街として成立したとされる地区が多く見られた。(3)地方都市では、明治期の芸娼妓分離施策によって郊外に遊廓が形成されたことを背景に、芸娼妓混在の花街から芸妓中心の花街へと移行するパターンが広域的に確認された。