都市計画報告集
Online ISSN : 2436-4460
21 巻, 4 号
都市計画報告集
選択された号の論文の46件中1~46を表示しています
  • 双葉郡8町村のまちづくり会社を対象として
    但野 悟司, 伊藤 尚輝, 伊藤 大夢, 佐藤 希美, 横田 宗輝, 川﨑 興太
    原稿種別: 研究論文
    2023 年 21 巻 4 号 p. 328-335
    発行日: 2023/03/10
    公開日: 2023/03/10
    研究報告書・技術報告書 フリー

    本研究は、双葉8町村のまちづくり会社およびふたばエイトの実態と課題を明らかにし、今後の原子力被災地における復興まちづくりの検討課題の一端を提示することを目的とするものである。双葉8町村のまちづくり会社と自治体を対象として実施したアンケート調査の結果に基づき、今後の検討課題として、まちづくり会社と自治体がこれまで以上に協議・調整を行い、山積する課題を一つ一つ解消することが必要であること、そのためには、まちづくり会社は自立した財源の確保に資する収益事業を拡充することが重要であることなどを指摘した。

  • 伊藤 大夢, 川﨑 興太
    原稿種別: 研究論文
    2023 年 21 巻 4 号 p. 336-342
    発行日: 2023/03/10
    公開日: 2023/03/10
    研究報告書・技術報告書 フリー

    本研究の目的は、原子力被災12市町村における地域おこし協力隊の現状と課題を明らかにすることである。我々は、原子力被災12市町村とそこで活動する地域おこし協力隊を対象としたアンケート調査を行った。その結果を基に原子力被災12市町村は生活環境を改善すること、学びの機会を地域おこし協力隊へ提供すること、起業・継業と住宅に関する支援をすることが必要であることを指摘した。

  • 佐藤 希美, 川﨑 興太
    原稿種別: 研究論文
    2023 年 21 巻 4 号 p. 343-350
    発行日: 2023/03/10
    公開日: 2023/03/10
    研究報告書・技術報告書 フリー

    本研究は、原発避難12市町村で活動している非営利民間復興支援団体を対象として、実態と課題を明らかにするとともに、今後の原発事故からの復興に向けた非営利民間復興支援団体のあり方に関する知見を得ることを目的とする。対象とする非営利民間復興支援団体へのアンケート調査を通じて、財源と人員の確保という2つの問題があることが明らかになった。そして、この2つの問題を解消するために、地域おこし協力隊を活用して人件費を抑制しながら人員を確保する方策が考えられることと、原発避難12市町村や双葉郡を対象とした中間支援組織を設立する必要があることを指摘した。

  • 松本 虎之介, 江坂 巧, 泉山 塁威
    原稿種別: 研究論文
    2023 年 21 巻 4 号 p. 351-356
    発行日: 2023/03/10
    公開日: 2023/03/10
    研究報告書・技術報告書 フリー

    近年、地域課題解決が期待されるスマートシティにおいて、ICT等の新技術による取り組みが多様したことで、地域特性と取り組みの関係性が不明瞭である。本研究では、スマートシティの地域特性と取り組みの傾向及び特徴を把握し、関係性を明らかにすることを目的とした。取り組み及び地域特性の文献調査より、地域特性に応じて取り組み分野が決定される傾向にあること、地域特性の属性により取り組みの特徴は異なることが明らかになった。

  • 平 修久, 西浦 定継, 吉川 富夫
    原稿種別: 研究論文
    2023 年 21 巻 4 号 p. 357-362
    発行日: 2023/03/10
    公開日: 2023/03/10
    研究報告書・技術報告書 フリー

    アメリカ東海岸の空き家・荒廃地区の対応方策及び運用状況は次のとおりである。①空き家財産管理人制度の仕組みや運用をはじめ、空き家問題対策は州によって異なる。②小規模自治体は州政府の専門的な支援が必要。③空き家を自治体から修繕等を行う事業者に、より早く、より確実に、より安価に譲渡する仕組みが複数ある。④空き家率が低い自治体は空き家ごとに点的に対応し、空き家率が高い自治体は街区ごとの面的対応も実施。⑤住宅地再生には、地域組織の積極的な関与、住民参加の再生計画、実績あるCDC、市の支援、財源確保、不動産市場のポテンシャルが必要。⑥住宅地再生に取組んでいるCDCは、持ち家率が高い方が住宅地が安定すると考えている。

  • 全国を対象とした2001年以降の新聞記事データによる分析
    大平 航己, Golubchenko Stanislava, 谷口 守
    原稿種別: 研究論文
    2023 年 21 巻 4 号 p. 363-367
    発行日: 2023/03/10
    公開日: 2023/03/10
    研究報告書・技術報告書 フリー

    COVID-19流行により、外出自粛要請や三密回避が求められ,多くの祭りやイベントについて中止や延期の措置が自主的にとられた。神事は様々な役割を果たすことが示されている中で、COVID-19をきっかけとして中断されてしまった神事を今後どのように復活させていくのかが重要になってくる考える。そこで、ポストコロナにおける神事の復活を見据えた基礎的情報を提供することを目的とし、新聞記事データから復活した神事の事例数及び中断理由、復活理由について経年的に把握を行った。その結果、2011年以降の阪神淡路大震災によって中断された神事の復活の変化やCOVID-19流行による中断の影響が定量的に示された。また中断理由としては後継者不足等、復活理由については伝統継承や地域活性化など幅広い理由の存在が明らかとなった。

  • 鄭 鍵鑫, 加藤 禎久
    原稿種別: 研究論文
    2023 年 21 巻 4 号 p. 368-372
    発行日: 2023/03/10
    公開日: 2023/03/10
    研究報告書・技術報告書 フリー

    世界遺産のマカオ歴史地区に隣接するマカオ内港地区は、近年、豪雨と台風などによる洪水被害が深刻である。本稿では、マカオ一帯の洪水対策について提案する。洪水対策は、ハードとソフト対策に分別されるが、本稿では、都市計画やインフラ整備などのハード対策に焦点を当てる。まず、中国で主流のグリーンインフラ概念である「スポンジシティー」について、特に洪水災害の防止・軽減を目的とした先行研究をレビューした。次に、マカオ内港地区の洪水原因を分析し、マカオ歴史地区への影響も分析した。その結果、洪水の原因は、地形的な原因、天文潮や高潮などの気象現象、排水施設の不備の3つに大別されることがわかった。都市計画の提案では、スポンジシティーの概念を用いて、中国の珠海とマカオ内港地区周辺における洪水被害軽減のための都市計画・デザイン案を提案した。

  • 伊藤 尚輝, 川﨑 興太
    原稿種別: 研究論文
    2023 年 21 巻 4 号 p. 373-380
    発行日: 2023/03/10
    公開日: 2023/03/10
    研究報告書・技術報告書 フリー

    本研究は、原子力被災12市町村における農業法人の実態と今後の課題を明らかにすることを目的とするものである。原子力被災12市町村の農業法人と自治体を対象にして実施したアンケート調査の結果によると、原子力被災12市町村の多くの農業法人と自治体は、特に人材や人員の確保・育成を課題であると認識している。以上のことを踏まえ、農業法人は正社員・正職員を通年雇用することができる環境づくりを進める必要があること、経営状況の改善をする必要があること、自治体は地域おこし協力隊の制度の活用を検討する必要があることを指摘した。

  • 制度当初期に事業に着手した8公園を対象とするヒアリング調査報告
    早川 礼菜, 雨宮 護
    原稿種別: 研究論文
    2023 年 21 巻 4 号 p. 381-384
    発行日: 2023/03/10
    公開日: 2023/03/10
    研究報告書・技術報告書 フリー

    本研究では,都道府県の担当者へのインタビューに基づき,担当者2021年7月までにPark-PFIを導入した全8県営公園を対象に,事業発案から実施までの各過程における,事業への地元の市・民間企業・市民の参画実態を明らかにした.インタビューの結果,県営公園のPark-PFI事業のプロセスが明らかになった.特に,市・民間企業・市民の参画方法がP-PFI事業前半では多様であるのに対し,事業後半では画一的であることが示された.また,本研究では,事業への参画の有無や参画の方法に影響を与える要因として,計画の柔軟性,公園の立地環境,公園規模,利用者層,上位計画の存在,Park-PFIの導入目的の明確さなどを指摘した.

  • 伊藤 彩香, 菊地 淑人
    原稿種別: 研究論文
    2023 年 21 巻 4 号 p. 385-388
    発行日: 2023/03/10
    公開日: 2023/03/10
    研究報告書・技術報告書 フリー

    本研究は、マンホールカードを事例とし、作成団体の視点を中心にカード作成・配布の実態とそれに基づく課題を明らかにすることを目的とするものである。そのため、2021年以前に作成された599作成団体795種類のマンホールカードを対象に、アンケート調査等により、(1)各団体の作成種類数・カード配布場所、(2)各団体のカード作成目的及び効果・課題等の認識、(3)カード受取者の居住地構成に関する分析を行った。一連の分析を踏まえ、作成・配布のプロセスにおいて観光に関する視点を導入・反映させていくことの重要性を指摘した。

  • 「地域系学部」が掲げる教育目標にみる特性の把握
    今津 海
    原稿種別: 研究論文
    2023 年 21 巻 4 号 p. 389-393
    発行日: 2023/03/10
    公開日: 2023/03/10
    研究報告書・技術報告書 フリー

    今日、大学における「地域社会への貢献」の重要性が高まっており、さらには、地域社会が求める人材の育成も急務となっている。とりわけ、地方公共団体が設置する公立大学においては、地域人材育成の役割が大きいとされ、いわゆる「地域系学部」を有する公立大学も多い。本稿では、公立大学の「地域系学部」が掲げる教育目標に焦点を当て、その内容を概観しながら、今日の公立大学の「地域系学部」における人材育成の特性を把握することを目的として調査を行った。結果として、公立大学の「地域系学部」における人材育成の特性として、都市・地域が抱える諸課題の解決や、持続可能な都市・地域づくりに貢献できる人材の育成を目指している点に一致が見られたほか、都市・地域づくりの現場における「中心的な役割」を担うことができる能力や学際的な知見に基づく実践力、各種ステークホルダーとの連携を図る能力の習得に重点が置かれていることを指摘した。

  • オンラインのレッスン・セミナーと飲み会に着目したケーススタディ
    山田 拓実, 瀬田 史彦
    原稿種別: 研究論文
    2023 年 21 巻 4 号 p. 394-401
    発行日: 2023/03/10
    公開日: 2023/03/10
    研究報告書・技術報告書 フリー

    本研究では人々の自由行動に着目し、東京圏と山陰両県・北東北の若年層を対象としたwebアンケート調査により、コロナ禍前後におけるオンラインツールを用いた遠隔地との交流頻度の変化および満足度を都市圏ごとに明らかにし、withコロナ時代における大都市圏と地方圏との交流の活発化に向けた示唆を与えることを目的とする。その結果遠隔地と行う交流の増減について、コミュニケーションが一方向的な活動は都市圏による違いがあったが、双方向的な活動は都市圏による違いは見られなかった。さらに山陰両県・北東北の方が東京圏より交流頻度はコロナ禍前と比べて増加しているものの、オンライン形式による交流のメリットは東京圏の方でより感じていることが明らかになった。

  • 全国55地区の花街を対象として
    久保 有朋
    原稿種別: 研究論文
    2023 年 21 巻 4 号 p. 402-407
    発行日: 2023/03/10
    公開日: 2023/03/10
    研究報告書・技術報告書 フリー

    花街は日本の伝統文化を継承した貴重な娯楽空間である。本研究は、近代に成立した芸妓中心の花街における成立経緯の全国的傾向を明らかにすることを目的とする。そのために、本稿では芸妓中心の花街の成立時期並びに成立までの地区の性質の変遷を整理・分析し、類型化を試みる。主な結論は以下の通りである。(1)芸妓中心の花街は明治期に成立した地区が全国的に多い傾向が確認された。(2)東京では、江戸―大正期にかけて初めから芸妓中心の花街として成立したとされる地区が多く見られた。(3)地方都市では、明治期の芸娼妓分離施策によって郊外に遊廓が形成されたことを背景に、芸娼妓混在の花街から芸妓中心の花街へと移行するパターンが広域的に確認された。

  • 西坂 涼
    原稿種別: 研究論文
    2023 年 21 巻 4 号 p. 408-410
    発行日: 2023/03/10
    公開日: 2023/03/10
    研究報告書・技術報告書 フリー

    公園の多機能化が進む現在、公共施設として評価する際にその特性に応じた方法を検討することが求められる。本稿は、沖縄県営平和祈念公園の指定管理者モニタリング評価に関する報告書の内容を、コーディングを用いて分析した。3か年分63ページの報告書を分析した結果、標準的な指定管理者評価が行われつつ、主に祈念性に関する部分は、自主事業としてのイベントが実施されているかどうかという観点から評価されていることがわかった。また、市民参加や地域連携によるイベントの質の向上に向けた取り組みが行われていた。今後は公園の特色や独自の取り組み内容を十分に捉えた評価の仕組みや項目を検討する必要がある。

  • 沖縄県の中南部都市圏を対象として
    平原 幸輝
    原稿種別: 研究論文
    2023 年 21 巻 4 号 p. 411-412
    発行日: 2023/03/10
    公開日: 2023/03/10
    研究報告書・技術報告書 フリー

    本分析では、社会経済指標に基づく社会地図を作成することにより、沖縄県中南部都市圏の空間構造を明らかにした。その結果、那覇市周辺に、人口が集中し、生産年齢人口が多く、第三次産業労働者やホワイトカラー労働者が多くなっていることが確認された。その周囲には、若年層の割合が高く、核家族世帯が多い地域が位置していた。また、南部を中心に外周部には、高齢者、第一次産業従事者、ブルーカラー労働者が多かった。そして、このような空間分布の背景には、鉄道や道路などの交通網の存在が考えられる。

  • 東京都八王子市を対象として
    平原 幸輝
    原稿種別: 研究論文
    2023 年 21 巻 4 号 p. 413-414
    発行日: 2023/03/10
    公開日: 2023/03/10
    研究報告書・技術報告書 フリー

    本分析では、小地域単位の分析によって、東京都八王子市の空間構造を明らかにする。八王子市の空間構造は、交通網に沿って第三次産業従事者が多い地域が分布し、その外部に非第三次産業従事者が多い地域が位置している。第三次産業労働者が多い地域には、ビジネスセンターとして特徴付けられ、ホワイトカラー労働者が非常に多い地域がある。そして、その周辺には、グレーカラー労働者が多い地域が位置する。外周部には、第三次産業従事者が少なく、人口減少、少子高齢化が深刻化する地域が位置している。

  • 山下 陽路, 片山 健介
    原稿種別: 研究論文
    2023 年 21 巻 4 号 p. 415-421
    発行日: 2023/03/10
    公開日: 2023/03/10
    研究報告書・技術報告書 フリー

    近年、まちづくりに対して行政のみでなく市民も参画する機運が高まっている。そこで、本研究では、市民活動を支援する公設民営型中間支援施設に着目し、その運営の実態と課題を明らかにし、今後のあり方を考察することを目的とした。施設へのヒアリングや取り組みの分析により、中間支援施設は、専門知識・ノウハウを活かし、各市民に寄り添った「伴走的」支援を行い、市民活動に関する資源が行き来する「交差点」のような場所であるといえる。また、施設認知度の向上、若者の利用促進、中間支援人材の育成、施設の支援をどう市の広域に届けるかといった課題があり、これらを解決しつつ、地域のニーズを掴む意識を持ち、行政と施設運営主体が堅固な関係を築くことが重要である。

  • 米原市における都市公園整備を事例として
    大田 詩織, 村上 修一
    原稿種別: 研究論文
    2023 年 21 巻 4 号 p. 422-427
    発行日: 2023/03/10
    公開日: 2023/03/10
    研究報告書・技術報告書 フリー

    日本では、市民が参加する公園づくりの前例は多いが、いずれも実際の利用との結びつきが強くなく、活動の想像に過ぎないため、完成との差があるのではないだろうか。そのため、今後は市民が使ってみる、試してみるという経験を繰り返し、「使ってみたい」という意見に共感しながらデザインを更新していく必要がある。本研究では、公園づくりの市民参加型手法の構築を目的に、滋賀県米原市西部の新都市公園整備計画の基本設計段階において、4回のワークショップを開催した。その結果、抽出された意見は「49の思い」として翻訳され、設計図に反映され、最終的には計画地を体験する市民によって設計が更新される可能性があることがわかった。以上のことから、立地や利用施設などの深い情報と、市民の要望などの表面的な情報を抽出することで、計画に反映できる手法が確立されたと考えられる。

  • 富山県・石川県を対象として
    赤間 茉理奈, 岡崎 篤行
    原稿種別: 研究論文
    2023 年 21 巻 4 号 p. 428-431
    発行日: 2023/03/10
    公開日: 2023/03/10
    研究報告書・技術報告書 フリー

    日本酒は日本の伝統酒であるが、日本酒の年間消費量や、酒造りを行う清酒(日本酒)製造場の数は現在減少傾向にある。酒蔵は古い歴史を持ち、地域に根付いた存在であることから、それらの減少は酒蔵の有する地域的特徴の損失を引き起こす可能性がある。一方、近年では酒蔵建築やその周辺景観等が観光事業に活用される動きも見られ、地域の活性化に繋がっている。日本全体における酒蔵の残存状況や酒蔵建築の実際の活用状況を明らかにするためには、全国の酒蔵建築を対象に網羅的な調査を実施する必要がある。既往研究では新潟県や福島県会津地方の調査を行っており、本研究では北陸地方のうち富山県と石川県について調査及び分析を行った。

  • 山梨県甲州市勝沼地域を事例として
    菊地 淑人
    原稿種別: 研究論文
    2023 年 21 巻 4 号 p. 432-438
    発行日: 2023/03/10
    公開日: 2023/03/10
    研究報告書・技術報告書 フリー

    本研究は、日本有数のブドウ・ワインの伝統的産地である山梨県甲州市勝沼地域を対象に、アンケート調査に基づき、地域住民のブドウ栽培に関する景観に対する認識の違いを考察することを目的とする。調査の結果、被験者の居住地区や本人・同居家族における農業従事者の有無によって、景観に対する認識が異なっていることが明らかになった。さらに、こうした認識に影響を及ぼす要素は、居住地区と対象となる要素のあいだの物理的な距離だけではないことも指摘された。

  • 鈴木 伶音, 髙橋 和詩, 荒川 知輝, 田澤 士琉, 佐藤 陽菜乃, 川﨑 興太
    原稿種別: 研究論文
    2023 年 21 巻 4 号 p. 439-446
    発行日: 2023/03/10
    公開日: 2023/03/10
    研究報告書・技術報告書 フリー

    本研究の目的は、原発被災地の自治体職員の現状や課題を把握することである。本研究を通じ、原発事故後には非正規職員が増加しており、原発事故前の行政経験がある正規職員は全体の3割にすぎないということ、業務量が多いと感じている職員が多く、遠距離通勤や家族との別居など、原発事故による被害を引きずっている者が少なくないことが明らかになった。今後の検討課題として、復興に関しては、被災者の支援の充実について指摘されることが多いが、その被災者を支援する基本的な行政主体は自治体であることから、同時に自治体職員の支援の充実が必要であることを指摘した。

  • インターネット地図機能を用いた基礎的広域調査
    佐藤 和生, 岡崎 篤行
    原稿種別: 研究論文
    2023 年 21 巻 4 号 p. 447-448
    発行日: 2023/03/10
    公開日: 2023/03/10
    研究報告書・技術報告書 フリー

    歴史的建造物である町屋は、地域特有の町並みを形成する重要な史料である。中でも、町屋の棟向きは町並みの特徴を表す要素であり、集落単位で変化する場合があるため、広域的かつ網羅的な調査を行わなければならない。しかし、近年町屋は減少しているため、速やかに調査を行い、各地域の棟向きの特徴を把握する必要がある。そこで、本研究では千葉県を対象としてインターネット地図機能を用いた網羅的な調査を行うことで、千葉県の町屋群の残存概況と棟向き及びその他の外観特性を把握する。

  • 福井県を対象として
    田村 佳樹, 岡崎 篤行
    原稿種別: 研究論文
    2023 年 21 巻 4 号 p. 449-451
    発行日: 2023/03/10
    公開日: 2023/03/10
    研究報告書・技術報告書 フリー

    日本酒の年間消費量と製造免許場数は減少傾向にあり、酒蔵の地域性が失われてしまう可能性がある。一方で近年、酒蔵建築物を観光地として活用する動きも見られ、地域の活性化に繋がっている。したがって、全国に残る酒蔵の状況や酒蔵建築の活用実態を総合的に把握する必要がある。これまでの研究では、新潟県などで調査を行ってきた。本稿では、これまでの研究を参考に、福井県において同様の研究を行う。

  • RRIモデルによる農地の宅地化に伴う貯留機能低下の影響分析を通じて
    野澤 千絵, 上田 聖也, 柿沼 太貴
    原稿種別: 研究論文
    2023 年 21 巻 4 号 p. 452-459
    発行日: 2023/03/10
    公開日: 2023/03/10
    研究報告書・技術報告書 フリー

    本研究では、浸水想定区域(最大想定規模)における土地利用規制別の人口推移と居住誘導に関する分析を行った。その結果、人口ピークアウト後の2010年から2020年の都市計画区域における浸水ハザードエリアの人口は、浸水想定なしエリアは71.9万人減少したが、浸水ハザードエリアは28.9万人増加していた。各市町村の都市経営の持続可能性を考慮すると、今後の土地利用コントロールを検討する際、各自治体内の人口減少している浸水想定なしエリアへの居住誘導の余地の状況をふまえる必要があり、その際の計画技術として農地の宅地化に伴う内水氾濫リスクへの影響についてRRIモデルによる解析の必要性などを明らかにした。

  • 東北・関東地方太平洋沿岸を対象として
    伊比 大河, 岡崎 篤行
    原稿種別: 研究論文
    2023 年 21 巻 4 号 p. 460-463
    発行日: 2023/03/10
    公開日: 2023/03/10
    研究報告書・技術報告書 フリー

    日本の近世都市研究は、その歴史と文化を把握するために行われている。 しかし、近世の港町に関する研究は、城下町に比べて少ない。また、 日本海沿岸に位置する近世のいくつかの港町が、城下町の出港地として建設されたことは一般には知られていない。 そのため、本研究の目的は太平洋沿岸地域に位置する近世港町の形成過程と都市形態を明らかにすることである。

  • 原 隆太, イエガネ ゲゼール, 奥羽 未来, エリザベス マリ, 新井 信幸, 近藤 民代
    原稿種別: 研究論文
    2023 年 21 巻 4 号 p. 464-470
    発行日: 2023/03/10
    公開日: 2023/03/10
    研究報告書・技術報告書 フリー

    本研究は災害危険区域における土地利用、復興プレイスメイキングのプロセスと場所化の要因を明らかにした。事例研究を行った仙台市・荒浜地区では、多様なステークホルダーが元居住地に新たな意味を与え、多様な活動や工夫により周囲を巻き込みながら、結果的に「場所」として再生させたことがわかった。従来の復興計画のように、エリアにビジョンや用途を決め、行政や民間が土地を利用するといったプロセスだけでなく、各々が「場所」を創出し、エリアが様々な主体による意味付けの束で構成される、といった流れでかつての居住地を新たな「場所」として再生できることを指摘した。

  • 成本 凌, 蒲田 峻大, 近藤 民代, 馬場 美智子
    原稿種別: 研究論文
    2023 年 21 巻 4 号 p. 471-476
    発行日: 2023/03/10
    公開日: 2023/03/10
    研究報告書・技術報告書 フリー

    2019年と2021年に連続して水害を経験した佐賀県武雄市の住宅耐水化の実態と空間的特徴を明らかにし、耐水化することができた要因を考察した。被災者の 保険加入、主体的で近隣住民とのコミュニケーションによる情報収集、水害に対するリスク認知が耐水化行動と関係していることが明らかとなった。空間的特徴については、年齢が高い、居住歴が長い、想定浸水深の認知度が高い傾向があった。これらの特徴をもとに住宅耐震化を促進させていく方策を追究していく必要がある。

  • 西田 極, 近藤 民代, 室崎 千重, 斎藤 真奈夢
    原稿種別: 研究論文
    2023 年 21 巻 4 号 p. 477-481
    発行日: 2023/03/10
    公開日: 2023/03/10
    研究報告書・技術報告書 フリー

    本研究で多拠点生活プラットフォームを介して地域において拠点が場所化されていくプロセスを明らかにし、地域計画に関する知見を導出することを目的とする。調査の結果、地域住民にとっての拠点とは、 ①多拠点生活者という地域に対し異質なものを受け入れる場所 、②拠点に立ち寄り、多拠点生活者との交流を通して価値観、知見、技術、そして地域に対する評価を享受することができる場所 、③日常的な多拠点生活者との流動的交流を通して地域住民が個人で実現し難いことを表現したり、相談することのできる居場所であることが明らかとなった。 多様な属性、志向、目的を持つ多拠点生活者が地域に訪れ、拠点管理人を介し地域と関わり、地域住民が価値観・知見・技術・地域に対する評価といった多拠点生活者による価値を享受することで拠点に対する意味の獲得・変容が促進されている。さらに拠点に入れ替わり滞在する多拠点生活者との流動的交流を通じて地域住民の表現の機会が生まれ、地域において拠点が場所化されている。

  • 大正末期から現在までの料理屋の分布を中心として
    木村 夏美, 岡崎 篤行
    原稿種別: 研究論文
    2023 年 21 巻 4 号 p. 482-485
    発行日: 2023/03/10
    公開日: 2023/03/10
    研究報告書・技術報告書 フリー

    花街は日本の文化をソフト・ハード両面から包括的に継承している稀有な場であり、近年ではその価値が再評価されつつある。福岡市では、建築的価値の高い料亭が現存している。それに加え、券番は合併と独立を繰り返してきた。本研究では福岡市の花街を対象に1924年頃、1956年頃、1974年頃、現時点の2020年の4時点での料理屋を中心とした花街建築の分布とその変遷を明らかにする。主な結論としては、1)新に券番の位置を敷地単位で4か所発見したこと、2)調査した4時点の内、料理屋は1924年が最も多かったこと、3)料理屋の分布は昭和期にかけて博多から福岡まで広がったこと、4)ほとんどの料理屋は中洲及び博多に分布していることが挙げられる。

  • 1000 Cities Challenge の指標を用いた試行的評価
    山田 拓実, 竹内 萌恵, 成澤 拓実, 福島 渓太, 塩崎 洸, 高橋 哲也, 深谷 麻衣, 森田 洋史, 樋野 公宏
    原稿種別: 研究論文
    2023 年 21 巻 4 号 p. 486-491
    発行日: 2023/03/10
    公開日: 2023/03/10
    研究報告書・技術報告書 フリー

    本研究は日本の9都市における、都市計画関連政策を1000 Cities Challengeの指標を用いて身体活動促進の観点から試行的に評価して、各都市の政策の現状を示すことを目的とする。結果として、身体活動促進につながる政策も散見されるが、文面を見る限りでは必ずしも身体活動促進を意識していると判断できない政策も多かった。指標別に見ると、自転車・歩行者インフラの整備についてはすべての市が、雇用分布や街路接続については、どの市も身体活動促進を意識した政策を持たなかった。

  • 滞在快適性等向上区域指定の53自治体を対象として
    森本 あんな, 染矢 嵩文, 飛田 龍佑, 川尻 雄貴, 泉山 塁威
    原稿種別: 研究論文
    2023 年 21 巻 4 号 p. 492-497
    発行日: 2023/03/10
    公開日: 2023/03/10
    研究報告書・技術報告書 フリー

    本研究の目的は、滞在の快適性・快適性を向上させるための区域を指定した53の自治体における事業の総合的な動向について速報することである。ウォーカブル推進プログラム制度を整理し、各自治体の都市再生・開発計画を検討することで、この制度を活用して区域内の様々な事業を実施することが可能であることが明らかになった。しかし、制度を総合的に活用して事業を実施しているケースは少ないため、今後は、さらなる協定締結や事業主体の多様化が必要であることが明らかになった。

  • 大田区花と緑のまちづくりの活動が内包する新たな価値の抽出と言語化
    土肥 真人, 木村 直紀
    原稿種別: 研究論文
    2023 年 21 巻 4 号 p. 498-503
    発行日: 2023/03/10
    公開日: 2023/03/10
    研究報告書・技術報告書 フリー

    本稿の目的は、まちづくりの中に、社会的な価値の変化を受けた新しい価値を見出すことである。特に、地球環境の危機と世界的な格差の拡大は、日常の暮らしの舞台であるまちとも深く関連しており、これらに関する新しい価値が、まちづくりの活動に懐胎されているのではないか、というのが本研究の仮説である。研究の方法としては、まちづくりを実践されている人のインタビューから、一般には明確に言語化されていない価値を抽出する、というプロセスを採る。研究結果として、13の新しい価値が言語化され、持続可能な世界に向けた重要な価値をまちづくりが内包していることが明らかになった。

  • 浅尾 菜月, 新保 奈穂美
    原稿種別: 研究論文
    2023 年 21 巻 4 号 p. 504-507
    発行日: 2023/03/10
    公開日: 2023/03/10
    研究報告書・技術報告書 フリー

    福岡市は公園の使いづらさや見守り・支え合い機能の低下などの課題の解決に向け、コミュニティパーク事業を展開し、一定条件を満たす場合、公園施設の休養・教養施設である「パークハウス」の設置を認めている。本研究では見守りを「顔見知り以上の関係性で互いを気に掛け合う」、交流を「挨拶以上の関わり」とし、パークハウスの見守り・交流創出効果を検証することを目的に、パークハウスを設置する公園で和風カフェや園芸教室といった企画を3回開催した。結果、地域住民に企画者になってもらい、孤立の兆しのあるその知人を巻き込むことで、見守り効果を創出できた。また閉じこもりや会話欠如型孤立傾向のある地域住民を含め参加者に対し、新たな顔見知りをつくったり、顔見知りとも関係性を深めたりといった、交流の機会を創出した。今後は継続的な開催による長期的な検証が望まれる。

  • 英国バーミンガム・ディグベス地区を事例に
    松下 重雄
    原稿種別: 研究論文
    2023 年 21 巻 4 号 p. 508-515
    発行日: 2023/03/10
    公開日: 2023/03/10
    研究報告書・技術報告書 フリー

    都市が縮退する過程において、今後どのような新しい都市機能が求められるかを検討した。具体的な対象は、社会的企業地区として認定されている英国バーミンガムのディグベス地区である。社会的企業集積によるまちづくりの意義としては、次のとおりである。1)都市の空き資源の再生利用、2)荒廃した都市環境の改善、3)まちなかの集う空間・つながる空間の形成、4)社会的包摂環境の実現、5)多様な重層的なコミュニティの形成、6)社会的課題の共有、7) ソーシャル・イノベーション・クラスターの形成、8) ソーシャル・ビジネスの拡大をとおした社会的経済循環、9) 新しい地域産業の基盤形成への相乗効果。そこに見られる新しい都市像を、環境・社会・経済の側面から整理すると、「空き資源を再生させながら新しい機能を埋め込む街」、「人びとが支え合い多様な生き方を実現する街」、「新しい価値観を創出し共有する街」として提示できる。

  • 和歌山市のイベントを事例として
    城本 絢未, 佐久間 康富
    原稿種別: 研究論文
    2023 年 21 巻 4 号 p. 516-523
    発行日: 2023/03/10
    公開日: 2023/03/10
    研究報告書・技術報告書 フリー

    本研究では、まちなかの回遊行動の特徴及び回遊行動と来街交通手段との関係を明らかにするために、追跡調査とアンケート調査を実施した。その結果、広域で同時開催されるイベントによって回遊行動が促進されること、また来街交通手段によらず回遊手段に徒歩を選ぶ来街者が多い一方で、来街に自家用車を利用しない来街者はそうでない者よりもまちなかにおける滞在時間が長いことなどが明らかになった。

  • 産業別の勤務頻度に着目して
    宮木 祐任, 小松﨑 諒子
    原稿種別: 研究論文
    2023 年 21 巻 4 号 p. 524-531
    発行日: 2023/03/10
    公開日: 2023/03/10
    研究報告書・技術報告書 フリー

    特に通勤者等に着目し人々の活動特性を表現する指標の1つである「昼間人口」は、勤務先での勤務が前提とされてきた。一方、COVID-19を契機としたテレワークの急速な普及は勤務地という概念を大きく変え、そうした社会変化を踏まえて昼間帯における滞在者数の捉え方を見直すことは、各自治体の都市計画を検討する上で重要な観点である。本報告では、通勤形態の変容を踏まえた昼間の滞在者数の変化を評価する指標を既存の指標をベースに再考し、東京都市圏の市区町村を対象にその感度を把握した。その結果、週当たり昼間滞在者数は多くの市区町村で増加する一方、都心では減少する傾向が明らかとなり、今後、都市構造等の評価を行う上で通勤や在宅勤務の頻度を考慮する重要性が示唆された。

  • 武井 瀬奈, 川﨑 興太, 西田 奈保子
    原稿種別: 研究論文
    2023 年 21 巻 4 号 p. 532-539
    発行日: 2023/03/10
    公開日: 2023/03/10
    研究報告書・技術報告書 フリー

    本研究は、避難指示・解除区域市町村における福島再生賃貸住宅の供給実態と入居者の生活実態を明らかにすることを目的とするものである。本研究を通じて、福島再生賃貸住宅は、避難指示・解除区域市町村において、避難者の帰還にも新たな住民の移住にも重要な役割を果たしているが、入居者は、医療、買い物、福祉などの生活環境に不満を感じており、また、近所付き合いなどのコミュニティ・交流環境を改善すべきであると考えていることが明らかになった。本研究では、今後の検討課題として、福島再生賃貸住宅に入居している帰還者と移住者のそれぞれの生活実態に即した支援策の充実、福島再生賃貸住宅およびその入居者を取り巻く生活環境の充実を指摘している。

  • 祇園を対象として
    狩野 歩夢, 岡崎 篤行
    原稿種別: 研究論文
    2023 年 21 巻 4 号 p. 540-542
    発行日: 2023/03/10
    公開日: 2023/03/10
    研究報告書・技術報告書 フリー

    花街は、日本の伝統文化を包括的に継承する場である。本研究の対象とする祇園は現在も多くのお茶屋(以前の貸座敷)が存在し、石畳の格調高いたたずまいが観光客に人気である。しかし、近年お茶屋の数は減少し花街本来の姿は変化しつつある。本研究の目的は、戦前の祇園を対象に存存する史料を基に可能な限り貸座敷の分布を調査し、最盛期の花街の姿を明らかにすることである。結論として、祇園には貸座敷と小方が満遍なく配置されていた。また、芸妓や娼妓については、両者が所属する置屋が祇園全体に存在した。そして、祇園甲部に芸妓と娼妓は万遍なく分布していた。

  • エリアビジョンの掲載項目及び構成分析を踏まえて
    一之瀬 大雅, 藤田 涼平, 泉山 塁威, 宇於﨑 勝也
    原稿種別: 研究論文
    2023 年 21 巻 4 号 p. 543-549
    発行日: 2023/03/10
    公開日: 2023/03/10
    研究報告書・技術報告書 フリー

    エリアビジョンの策定が進んでいるが、策定を行う団体がエリアビジョン策定を目的化していると考えられる。 本研究では、全国35のエリアビジョンを対象として、文献調査及びアンケート調査より、エリアビジョンの掲載項目及び構成分析を踏まえて、「エリアビジョン」の発意及び策定時の検討事項と将来像実現に向けた取り組みの傾向を明らかにした。 その結果、エリアビジョンは開発事業や公共空間の活用整備などの事業を行う際に発意され、協議会等を設けて多様な主体により策定される傾向にある。

  • インターネット地図機能を用いた基礎的広域調査
    石田 裕也, 岡崎 篤行
    原稿種別: 研究論文
    2023 年 21 巻 4 号 p. 550-551
    発行日: 2023/03/10
    公開日: 2023/03/10
    研究報告書・技術報告書 フリー

    歴史的建造物である町屋は、地域特有の町並みを形成する重要な史料である。中でも、町屋の棟向きは町並みの特徴を表す要素であり、集落単位で変化する場合があるため、広域的かつ網羅的な調査を行わなければならない。しかし、近年町屋は減少しているため、速やかに調査を行い、各地域の棟向きの特徴を把握する必要がある。そこで、本研究では秋田県を対象としてインターネット地図機能を用いた網羅的な調査を行うことで、秋田県の町屋群の残存概況と棟向き及びその他の外観特性を把握する。

  • 秋武 優梨菜, 寺田 徹
    原稿種別: 研究論文
    2023 年 21 巻 4 号 p. 552-555
    発行日: 2023/03/10
    公開日: 2023/03/10
    研究報告書・技術報告書 フリー

    都市農地保全の重要性が認識される中、本研究では、東京都町田市の市街化区域内農地を対象として、農地転用の実態把握とその立地特性を土地利用GISデータを用いて経時的に把握した。結果、農地は年平均0.9~3.3%で主に住宅地に転用されており、1974~1989年は周辺緑地率が高い農地が転用されやすく、2007~2017年は逆の傾向となっていた。このことは、過去は周囲の緑地も含む大規模な宅地造成が行われ、現在は緑地の少ない市街地内に残存する農地が開発の対象となっている可能性を示唆している。近年、緑地の少ない市街地で農地の転用が進行する傾向にあることは憂慮すべきであり、効果的な保全策を講じる必要がある。

  • 江坂 巧, 石川 翔悦, 泉山 塁威, 宇於﨑 勝也
    原稿種別: 研究論文
    2023 年 21 巻 4 号 p. 556-562
    発行日: 2023/03/10
    公開日: 2023/03/10
    研究報告書・技術報告書 フリー

    本研究の目的は、東京都心部における民間事業者による「広場の暫定利用」の機能的・空間的特徴、およびプロジェクトマネジメントの特徴を明らかにした。研究の方法は、文献調査により常設・仮設の機能・空間構成要素を整理し、事業者へのヒアリングにより事業運営の特徴を整理した。結論では、その後の開発事業を見据え、地域住民を対象とした機能やローコストな暫定活用の整備、事業理念への共感が事業協力者の優先的な判断基準であることが明らかになった。さらに、プロジェクトの企画・管理・運営に携わる事業者との関係性によって管理運営上の特徴を類型化した。

  • 津波復興祈念公園が立地する陸前高田市と石巻市を対象とした質問紙調査の報告
    近藤 民代, 坂口 奈央, イエガネ ゲゼール
    原稿種別: 研究論文
    2023 年 21 巻 4 号 p. 563-568
    発行日: 2023/03/10
    公開日: 2023/03/10
    研究報告書・技術報告書 フリー

    本稿では国営追悼・祈念施設が立地する津波復興祈念公園が建設された岩手県陸前高田市および宮城県石巻市で実施した居場所の変化に関する調査結果を報告する。復興市街地整備事業区域内の住宅(災害公営住宅、民間賃貸住宅、戸建住宅)を配布対象とし、居住移転を経験した被災者に質問紙調査を実施した。場所のアイデンティティを構成する三要素である「意味」、「設え」、「活動」、がどのように変化したのか、居場所の空間的変容に着目し、質問紙調査で得た生活圏や居場所の地域名や具体的な場所のデータを用いて、ジオコーディングを行い、GISを用いて空間的変容を可視化した。その結果、災害伝承や記憶の継承という意味が埋め込まれた津波復興祈念公園はかつて、住民にとっての居住地、地域の誇り、住民が訪れる場所であったが、震災を経た現在は被災者の居場所にはなっていない実態が明らかとなった。震災12年を経た東日本大震災の被災地で求められているのは、市民の居場所を取り戻す・作り出す主体的活動をサポートし、まちの中で広大なエリアをしめる復興祈念公園をまちにとって大切な場所として再生させ、市民の居場所にしていくことである。

  • ハリケーン・カトリーナ後のニューオリンズ市における市民主導の場づくりの事例から
    松下 朋子, 近藤 民代, イェガネ ゲゼール, リズ マリ, ミシェル マイヤー, ゲイレン ニューマン
    原稿種別: 研究論文
    2023 年 21 巻 4 号 p. 569-575
    発行日: 2023/03/10
    公開日: 2023/03/10
    研究報告書・技術報告書 フリー

    2005年のハリケーン・カトリーナの後にニューオリンズ市で行われた市民主導のプレイスメイキングの2つの事例―ラフィット緑道とサンコファ湿地公園について、その過程と復興期における役割について論じる。プレイスメイキングを通じて荒廃した土地が再生され、その過程で減災、能動的交通、環境保全、公平性、地域活性化、経済効果など多様な価値を生み出した。場を「作る」創成期から「維持する」継続期への移行を捉え、場を維持するための仕組みの重要性を指摘した。プレイスメイキングによって失われた場のアイデンティティが見出され、場を整えることで周辺環境が改善された。市民主導で多様な関係者との連携によって実施されたプレイスメイキングは復興期における人々の葛藤やジレンマを取り持つ。

  • 海野 晴奈, 室﨑 千重, 近藤 民代, 齋藤 真奈夢
    原稿種別: 研究論文
    2023 年 21 巻 4 号 p. 576-579
    発行日: 2023/03/10
    公開日: 2023/03/10
    研究報告書・技術報告書 フリー

    本研究では、従来の定住型生活と比較して、非定住の流動する暮らし方である多拠点生活において住宅・住居・ホームの機能がどのような結びつき見せているのかを、定額住み放題サービス利用者を通じて考察する。重村氏(1992)『定住の構造-その生活学的考察と計画論的展開-』から、「住居にみる三つの空間秩序」の理論を本研究に援用する。流動する多拠点生活において、精神的な身の寄せ場としてのホームの機能に揺らぎがあること考えていたが、機能Ⅰ住宅と機能Ⅱ住居の固定が機能Ⅲホームの機能の固定につながっていることがわかった。また、多拠点生活者は所有できる荷物に限りがあるが、その中に精神的な拠り所を意味する物の所有はあまり見られなかった。

  • 齋藤 真奈夢, 室﨑 千重, 近藤 民代, 西田 極
    原稿種別: 研究論文
    2023 年 21 巻 4 号 p. 580-586
    発行日: 2023/03/10
    公開日: 2023/03/10
    研究報告書・技術報告書 フリー

    本研究では、多拠点生活事業が空き物件活用や所有者の意識変化に役割を果たしていることを明らかにした。多拠点生活事業で空き物件を活用する所有者は、家賃収入だけでなく、気楽さ、個人利用、楽しさ、交友関係、意識変化などを得ている。多拠点生活事業は活用できる空き物件を拡大させ、活用に携わる人々のコミュニティを生み出す。

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